免疫ストレスを取り去る食べ方

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免疫ストレスはこちらで紹介しました。最近、注目の食品は大麦のβ-グルカンです。

現代人は、注目のβ-グルカンの摂取量が減少している

免疫力アップ効果に注目が集まる、β-グルカンという成分を耳にした人も多いと思います。このβ-グルカンは細胞壁に含まれる多糖類の一種で、水溶性食物繊維に分類され、大麦やキノコ類に多く含まれています。

近年、β-グルカンについてはさまざまな効能、効果が確認されています。たとえば、免疫系を活性化して感染抵抗力を強める効果や、慢性の炎症を抑制する効果などが報告されており、アメリカ食品医薬品局(FDA)と欧州食品安全機関(EFSA)は、大麦食品についてコレステロールを低下させる因子として、「ヘルスクレーム(健康強調表示)」を認可しています。

大麦β-グルカンには、ほかにも血糖値の上昇抑制作用、血圧降下作用があることが明らかになっています。

FDAのヘルスクレームによれば、効果のある摂取量はl 日3グラムとなっています。発芽大麦であれば100グラム強に相当する量です。

ここで昭和30年の農林水産省(当時は農林省)の作物統計では、日本の大麦生産量は240万トンで、平均摂取量は1年に1人あたり24キロも消費していたことになります。
したがって、大麦のβ-グルカン含有量を3%とすれば、1日あたり約2グラムを大麦から摂取していたと考えられます。現在はどうでしょう。国内で生産される主食用の大麦は約20万トン前後と昭和30年当時の10分の1以下にまで低下しています。

キノコ類など大麦以外からも摂れるので、現代人の摂取量が10分の1以下になったというのは少し過大評価かもしれませんが、β-グルカンの摂取量も同様に低下しているようです。

水溶性β-グルカンは、胃や小腸で消化酵素の影響を受けず、水溶性の状態では高い粘性があることから、胃粘膜の保護作用、小腸内を通過するときに糖質や脂質の吸収を抑制する作用、有害物質を吸着して体外に排出する作用なども知られています。

腸の「免疫ストレス」を取り除くβ-グルカンの効果は、今後の研究によってさらに明らかにされるでしょう。

快眠できない人のために大麦発酵酵素を使用した「快眠すっきり酵素」などもあります。現代人に眠れない睡眠トラブルが増加しているのもこのβ-グルカンの摂取量が大きく減少しているからかもしれません。

免疫力アップには欠かせないグルタミン

腸の免疫力アップには、β-グルカン以外にグルタミンという栄養素も欠かせません。グルタミンとグルタミン酸は、よく混同されがちですがどちらも人体に欠かせない必須アミノ酸ではあるものの、異なる物質です。

グルタミンは骨や筋肉を作るなど、たんばく代謝や免疫機能にとって重要な栄養素ですが、実は腸にとっても重要な栄養素なのです。
グルタミンは小腸粘膜細胞にとって最大のエネルギー源で、大腸粘膜細胞にとっても2番目のエネルギー源です。さらに、小腸の粘膜の修復や、粘膜細胞のはたらきを高め吸収を促す作用、リンパ球の栄養になるなど、腸の免疫作用にとって不可欠の栄養素といえます。
通常、グルタミンのほとんどは体内で合成され、食事で摂取される量は、体内で消費される量に比べてはるかに少ないものです。そのため、本来グルタミンを意識的に補充する必要はないといえます。

ただし、病気や激しい運動などで体が深刻なダメージを受けたりした場合、各臓器に供給するために筋肉から大量にアミノ酸が消費されることになります。
そのひとつがグルタミンです。このような事態になると、グルタミンが不足してしまいます。とくにグルタミンは、分裂スピードの速い腸細胞のエネルギー源として大量に消費されるので、このような状況下ではとくに補給が必要になります。

腸壁にある免疫細胞のなかでも、とくにマクロファージやリンパ球にとってグルタミンは重要なエネルギー源でもあるので、感染症などに対抗する際には、さらに多くのグルタミンが消費されます。フランス人は、風邪で体力が落ちてしまったとき、生肉や生卵を使った料理である「タルタルステーキ」を食べる習慣があります。肉や魚、卵に多く含まれ、熱に弱いグルタミンは、生の状態で摂ることが有効であることを、彼らは経験的に知っているのかもしれません。

体内で消費されるグルタミンのほとんどは体内で合成されるものなので、どんなときに、どれくらいの量のグルタミンを摂取すれば有効なのかについては、はっきりとしたことはわかっていません。しかしフランス人の例からもグルタミンの摂取と免疫力のアップには深い関係性があります。

グルタミンを効率的に摂取するなら発芽大麦がおすすめです。この発芽大麦はグルタミンのみならず、ビタミンや食物繊維、ミネラル、β-グルカンなどさまざまな栄養素を豊富に含んでいます。あるいは青魚の刺身や、生卵での卵かけご飯などを食べるの効果的です。

グルタミン酸は腸に欠かせない栄養素

グルタミンは、グルタミン酸と混同されやすいのですが、腸の免疫力アップに欠かせない大切な物質です。日本人が「うまい」と感じるもの。その「旨味」とは、鰹節や昆布、干しシイタだしじるケなどでとられた「出汁」によるものです。

この出汁こそが、和食を特徴づけるひとつの要素だといえるでしょう。この旨味のもとは、出汁に多く含まれているグルタミン酸です。実はこのグルタミン酸は、私たちにおいしさを与えてくれるだけではなく、生体内で多くの作用をもたらすことがわかってきたのです。

ある研究では、胃のなかにグルタミン酸があると、副交感神経の活動が促進されることがわかっています。さらに、消化管(小腸粘膜)はその活動エネルギー源のひとつとして、グルタミン酸を大量に消費しています。

つまり、旨味成分( グルタミン酸など)の少ない食材ばかり食べていると、腸のエネルギーが不足し、腸の運動が停滞してしまいかねないのです。

旨味成分の多いもの、つまり日本人が従来食べていた出汁の利いた食事を多くとることは消化管運動の克進、つまり腸の健康には不可欠だったのです。

このグルタミン酸は、日本人の食生活に欠かせない大豆食品(納豆、豆腐、味噌、しよう油)のみならず、地中海型食生活の基本食材であるトマトにも豊富に含まれています。
これらの食材を上手に活用して、グルタミン酸をしっかり摂りたいものです。

腸の蠕動運動に必須のマグネシウムは大腸ガンの予防にも

腸を動かすミネラルに、マグネシウムがあります。マグネシウムは必須ミネラルとされていますが、現代日本人の摂取量は必要量に足りていないようです。

1950年以前には、日本人は海藻などから必要量のマグネシウムを摂取していました。しかし1960年以降、食の欧米化によって食物繊維摂取量や植物性乳酸菌摂取量の減少とともに、マグネシウムの摂取量も減少していったのです。

現在、マグネシウムの必要摂取量の基準値は1日あたり370mg(男性30~49歳)とされていますが、実際には約250mgしか摂取しておらず、120mgほど不足しています。

このことが、慢性的な便秘や腸ストレスに悩む人が増えている原因のひとつにもなっていると考えられます。マグネシウムは、「体温や血圧の調節」「筋肉の緊張を媛和」「細胞エネルギーの蓄積や産生の補助」など生命の維持には欠かせないものです。

腸にとっても重要で、さまざまな刺激から腸の粘膜を守ったり、神経のはたらきを円滑にして腸ストレスを取り除いてくれる役割を担っています。2

厚生労働省研究班の報告では、マグネシウムを多く摂取する男性は大腸がんのリスクが有意に低いとされています(ただし、女性においては有意な関係が認められません)。

このように人体にとってマグネシウムは必要不可欠な栄養素である一方で、消費されやすいものでもあります。たとえば、甘いものの食べすぎや発汗、ストレスなどによっても消費されてしまいます。
マグネシウムが不足すると、便秘だけではなく、スポーツのときのけがや肉離れなどを起こしやすくなるなど、さまざまな悪影響を及ぼします。

このようにマグネシウムは、腸を動かし、病気から守ってくれる大切なミネラルなのです。便秘がひどいときに、マグネシウム製剤などを下剤として使用することもありますが、なるべくなら毎日の食事のなかで補うのがよいでしょう。

マグネシウムが多く含まれる食材には、にがりや岩塩、硬度の高いミネラルウオーター、ひじき、玄米、納豆、カキ、カツオ、ゴマ、サツマイモ、落花生、バナナなどがあります。

ただし、重度の便秘の場合は、食事だけで効果を期待するのは難しいので、こういった3Aマグネシア お腹が痛くなりにくいマグネシウム便秘薬も活用する必要があるでしょう。

アルコールと腸の関係

アルコールを飲みすぎると肝臓に悪い。ここまではよく知られています。しかし、それだけでなく、腸をはじめとした消化器にもさまざまな悪影響を及ぼします。

さらに、アルコールは、口腔がんや舌がん、咽頭がん、食道がんのリスクを高めてしまうことがわかっています。濃度の高いアルコールの刺激によって、これらの部位の粘膜が傷つけられるために引き起こされるもので、これらはアルコール関連がんと呼ばれています。

アルコールは肝臓で代謝されてアセトアルデヒドになり、最終的に解毒され、水と炭酸ガスになります。このアセトアルデヒドが内臓を刺激したり、細胞を傷つけたりすることで、がんの発生リスクを高めるとも考えられています。

大腸がんについても、同様の理由から、発症リスクを高めていると考えられます。近年の疫学研究によれば、そのほとんどにおいて、アルコールは大腸がんの促進因子と結論づけています。

男性の場合、1日平均1合以上のお酒を飲む人は、お酒を飲まない人に比べて大腸がんの発生率が高いという結果でした。また、ビールなどアルコール度数の比較的低いものでも、大量に飲むと直腸に炎症が起き、これが引き金となり直腸がんになりやすくなるというデータもあります。
お酒は百薬の長といわれたりもしますが、量が過ぎればただの毒です。量に注意して楽しみたいものです。

潰瘍性大腸炎になりやすい食べ物

潰瘍性大腸炎やクローン病等の炎症性腸疾患の患者さんに「発病の5年前にどのような食生活を送っていたか」についてアンケートを行ったものです(2001年)。

それによると、パンやチーズ、肉類、ハム・ソーセージなどの加工食品とともに、バターやマーガリンなどの油を多く摂っていたことがわかりました。

こうした欧米型の食事を多く摂っている人は、そうでない人に比べると、なんと1.71倍の確率で潰瘍性大腸炎になりやすいというのです。

さらに、食間や食後についつい食べたくなるチョコレートやキャラメル、スナック菓子、ケーキ、アイスクリームなどの甘いものについても同様のアンケートをしています。

すると、これらの甘いものをよく食べる人は、そうでない人に比べて、1.2倍の確率で潰瘍性大腸炎になりやすいという結果でした。
一方で、野菜や果物をたくさん食べる人は潰瘍性大腸炎を発症しにくい、という結果も。以上の調査からは、潰瘍性大腸炎は、肉類に偏った食生活が原因の生活習慣病と考えられるのです。

腸は肉を好まない

日本人の胃腸は、肉食には不向きです。古来、穀物を主に摂取してきた日本人の腸のメカニズムや、酵素の違いなどが関連しているためです。しかし、どうやら肉は、日本人だけでなく、欧米人の腸にとっても喜ばしい食べ物ではないこともわかりました。

そして、非常にショッキングな研究結果があります。それは、赤身肉(牛肉、豚肉が対象。鶏肉は除く)は大腸がんのリスクを確実に上げるとされ、大腸がんの最大の危険因子のひとつだというのです。

さらに日本国内でも同様の報告があります。国立がん研究センターが約10年間で約8万人を対象にした追跡調査の結果を2011 1年に公表したのですが、肉を食べる多くの日本人は大腸がんになるリスクが高いことを明らかにしたのです。

それによれば、男性は肉類全体の摂取量が最も多いグループ(1日あたり約100g以上)の大腸がんの発症リスクが、最も少ないグループ(同約35g未満) の1.4倍。

女性でも赤身肉(牛と豚肉)の摂取量が最大のグループ(同約80g以上)が、最小のグループ(同約25g未満) の約1.48倍にもなるというのです。この調査によって、冒頭のアメリカがん研究財団と世界がん研究財団による報告内容が、日本においても裏付けられたのです。

では、なぜ赤身の肉が危険なのでしょうか。これまでは脂身は控えるべきといわれてきましたが、赤身はそれほど危険視されてこなかったような気がします。その理由としていわれているのは、次のようなものです。

  • 肉を食べると、脂質を多く摂取することになる。これが、コレステロールや飽和脂肪酸などの摂取量の増大につながる。
  • 肉を焼くと焦げることもある。しつかり火が通された肉を好む人のほうが、大腸がんになりやすいという指摘がある。
  • 赤身肉はほかの部位に比べて鉄分が多い。適量の鉄分は体に必要だが、脂質が一緒の場合は話は別。脂質と鉄分の組み合わせは、がんの発症のきっかけとなる活性酸素を作りだすフェトン反応(鉄の反応)をしやすくなる。

注目すべきは3番目です。赤身肉が問題とされているのは、そこに含まれる鉄分と脂質です。赤身肉を食べ、その鉄分が腸管内を通過するときに、過酸化脂質との反応、つまりフェトン反応がより高率で起こり、活性酸素が発生しゃすくなるのです。

人体内の鉄分の多くは、通常はヘム鉄として血液中に存在しています。酸素を細胞に運ぶ赤血球のヘモグロビンは、ヘム鉄とたんばく質が合体したもの。鉄分はこのように人間の体には欠かせない成分です。しかし、過剰な摂取は、活性酸素による発がんをうながす鉄イオンによるフェトン反応につながってしまうのです。

結論としては、赤身肉の摂取量はできるだけ抑えるべきだという意見もありますが、私は1週間に1~2回程度、少しだけ食べるぐらいならあまり問題はないと考えています。

ちなみに、アメリカでは1日の摂取量を80g以下にするようにすすめられていますが、アメリカ人の主食は肉であるといっても過言ではないので、魚や豆類などからたんばく質を摂っている日本人は、もっと少ない基準がいいかもしれません。

鉄分は赤身肉のほかにも、たとえばレバーやアサリ、ハマグリなどの貝類にも多く含まれています。赤身肉以外でも、肉や魚で赤みが強いほど一般に鉄分が多いと考えてよいでしょう。

一方、野菜に含まれている鉄分は、問題ありません。肉や魚、レバーなどの動物性食品に含まれるヘム鉄は、体内への吸収率が20 ~30 %であるのに対して、野菜や大豆食品などの植物性食品に含まれる鉄分は、非ヘム鉄であり、しかも吸収率は5%程度にすぎません。
つまり、鉄分を多く含む野菜を食べても、鉄分による活性酸素が発生する心配はないといえるのです。
ほうれん草などは、ゆですぎないようにして卵などと一緒に食べるのがおすすめです。

免疫ストレスを取り去る食べ方のまとめ

  • β-グルカン豊富に含む大麦やキノコ類を摂るようにする。
  • 刺身などの生魚や生卵に含まれるグルタミンを意識して摂る。
  • グルタミン酸が豊富に含まれた、出汁の利いた料理を食べるようにする。
  • ひじきや大豆製品、魚介類など、マグネシウムが含まれた食品を摂る。

心理ストレスを取り去る食べ方

IT企業でのストレス
IT企業でのストレス

心理ストレスは現代人特有の「過敏性腸症候群」の原因となりますが、どういった食べ方でこの心理ストレスによる腸ストレスを解消できるのでしょうか?

植物性乳酸菌は、腸に到達し乳酸を放出し、腸内を弱酸性の環境に保ってくれます。腸内が弱酸性に保たれると弱アルカリ性を好む悪玉菌はすみにくくなるため、おのずと善玉菌の割合が増えるというわけです。

この「整腸作用」によって腸内環境が改善されると、便秘解消や免疫力アップにもつながり、腸のさまざまな病気の予防にもなります。

さらに、植物性乳酸菌は、精神的なストレスを媛和し、気分をスッキリさせてくれるはたらきも期待できるのです。最近ではMRIなどの進歩により、心の動きや気分の変化によって、脳内の血流に変化が見られることがわかってきました。
つまり、心の状態を脳で知ることができるようになったということです。

では、腸内環境がよくなると気分もよくなるとはどういう仕組みなのでしょうか。その関係を具体的に証明するために、不安感情などをチェックする心理テストもあります。

対象は、腸内環境が悪化していて、不安や抑うつなどに悩む慢性便秘症の方です。植物性乳酸菌のひとつであるラブレ菌含有カプセルを4週間摂取していただき、カプセルの摂取前後の結果と便培養による便内にある菌の状況、および自覚症状、マグネシウム製剤などの下剤服用量の変化について検討しました。

対象は4名(20歳~65歳) の下剤服用中の慢性便秘症の、いずれも女性の患者さんです。その結果、ラブレ菌含有カプセルの摂取前と摂取後を比較すると、自覚症状では改善が見られ、下剤稔使用回数と使用量に減少が見られました。

糞便内細菌叢は、接種前と比較して、腸内善玉菌である乳酸菌の有意な増加、悪玉菌であるバクテロイデス菌叢及びバクテロイデス菌占有率の有意な減少が確認されました。

また、心理テストの結果においても、不安や抑うつ状態の有意な改善が見られました。以上の結果から、腸ストレスを取り除くことで、心身のストレスを和らげられることが証明されたといえます。

つまり、腸の調子を撃えるだけでなく、「心理的ストレス」をも取り除いてくれる植物性乳酸菌の有用性が科学的にも実証されたのです。

ガムや歯磨き粉などの香料としても使用される、スッキリさわやかなべパーミントは、実は古くから薬効にすぐれたハーブとして知られています。
どうもスッキリしない」という人には、このペパーミントがおすすめです。ちなみにドイツでは、腸のはたらきが停滞している人、便秘の人が訴える腹部膨満感に対して、ペパーミントがおすすめです。

ちなみに、お腹にたまるガスの正体は、その約7割が口から飲み込んだ空気で、腸内で発酵したガスと混ざり合ったものです。その成分は約400種類あるとされ、そのうち約8割が窒素で、インドールやスカトールなどの悪臭のもとになる成分は1割にも満たないのです。

こうしたガスがお腹にたまって苦しくなる原因のひとつに、ストレスが挙げられます。緊張したりストレスを感じてしまうと、空気嚥下症といって、無意識のうちに多量の空気を飲み込んでしまうようになります。

こうして飲み込んでしまった空気は、ゲップを我慢してうまく外に排出されないと、腸に下りてガスとなってしまうのです。さらに、横行結腸にガスが大量にたまると胃を圧迫し、胃の内容物を停滞させるため、胃炎や逆流性食道炎せ起こしてしまいます。

腸内にたまってしまったガスを、効果的に排出するためにもペパーミントが有効です。ペパーミントの葉をお湯で抽出したペパーミント・ティーです。

その秘密は、ペパーミントが、腸管を動かしている筋肉である平滑筋の緊張を弛潰させることにあります。腹痛や不快感のもとになるのは、筋肉の過度な収縮です。

その緊張を抑制してくれる効果があるので、心理的なストレスから心身をリラックスさせてくれるのです。実際、動物実験において、ペパーミントの主要成分であるメントールが、腸の筋肉を収縮させる物質が出るのを抑えてくれたり、筋肉収縮を引き起こすカルシウムが細胞内に流れ込むのをブロックしたりすることが報告されています。

ペパーミントには、さらに発汗作用もあります。これはメントールの血管を拡張する作用によるものです。それによって、腸の動きをよくするという作用も期待できます。

したがって、ペパーミントティーを飲むことで、温かいお湯でお腹が温まり、ペパーミントのメントールによって腸のはたらきがよくなるというわけです。ちなみにメントールには、殺菌・抗ウィルス作用や鎮静作用もあります。そのため、不眠解消にも効果を発揮します。

心理ストレスを減らすビタミンC

肌荒れを防ぐなど美容効果も期待できるビタミンC には、ぜん動運動を促進するなど腸にとっても非常に有効な作用を持っています。
さらに、心理的ストレスを取り除いてくれる効果も期待できます。私たちの心身はストレスを感じると交感神経のはたらきによって、アドレナリンの分泌や血圧の上昇、血中糖分を増やすことでストレスに立ち向かおうとします。
このアドレナリンが作られる際に、大量のビタミンC が必要になります。1日に摂取すべきビタミンCの目安量は、男女ともに、大人は約100mgとされています。
ただし、激しい運動や紫外線を多く浴びたときなどは、酸化ストレスを取り除くために大量のビタミンCが消費されます。ビタミンCは水に溶けやすく、摂りすぎても体外に排出されるため、食べ物から少し多めに摂るくらいがちょうどいいかもしれません。
ビタミンC は、ブロッコリーやピーマン、キャベツ、ゴーヤ、カボチャ、イチゴ、柿、キウイなどの野菜・果物に多く含まれています。

食事からの摂取が難しい場合は、飲料水やサプリメントなどで手軽に補給できます。薬局でもビタミンC配合のサプリメントやアスコルビン酸(ビタミンC )の錠剤が市販されています。ただし、サプリメントを多く摂りすぎると、お腹をこわすことがありますのでご注意ください。

心理ストレスを取り去る食べ方のポイント

  1. 味噌、漬け物などの発酵食品、植物性乳酸菌の飲料などで、植物性乳酸菌を意識して摂るようにする。
  2. ペパーミントを日々の食生活に活用する。たとえば、ペパーミント・ティーなどにして飲む。
  3. 野菜や果物からビタミンCを多く摂るようにする。

ストレスがかかっている人に必要なビタミン

欠食・偏食を取り去る食べ方

欠食、偏食
欠食、偏食

欠食や偏食による腸ストレスはこちらですが、まず意識することはず炭水化物を中心に、野菜やキノコ類、発酵食品などをしっかり摂って、バランスのいい食生活に改める必要があります。

そのためにも、1日のうちで最も腸の蠕動運動が起こりやすい朝に、きっちり食事を摂ることがポイントです。少しでも朝は、寝ていたいのはわかりますが、これでは便秘体質を改善できません。

また、夜遅くにものを食べると、胃腸に負担がかかり、翌朝の食欲が湧かなくなるため、就寝の3時間前までに夕食を摂るようにしたいものです。

とはいえ、腸の欠食・偏食ストレスを抱えている人は、そもそも食事の量が少なかったり、不規則だったりします。あるいは、体重が気になっていたり、メタボが心配な人も多いでしょう。そういう人は、カロリーが低めで、食物繊維がたっぷり含まれた食べ物を効率的に摂りたいところです。

一般的に食物繊維を多く含む食事をしている人の腸内には、肉と脂肪が多い食事をしている人に比べて、ビフィズス菌などの善玉菌が多く存在しており、逆に病原毒素を出すよぅな悪玉菌は少ないことがわかっています。

食物繊維には便通を促して腸をきれいにする作用だけではなく、腸内細菌のバランスを撃えたり、血糖値や血圧を上がりにくくする効果、コレステロール値の改善に役立つ作用も期待できるのです。

食物繊維には水溶性と不溶性があり、それらを上手に組み合わせることによって腸をきれいにしてくれます。不溶性食物繊維を多く含む食品には、たとえば玄米やゴボウ、ニンジン、ブロッコリーなどがありで、一方、水溶性食物繊維は、ナメコや海藻類、アボカドなどの熟した果物に多く含まれています。

水溶性と不溶性の理想的な摂取比率は1対2です。水に溶けにくい不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収してふくらむことで、腸壁を刺激して腸のぜん動運動を促します。
便のかさが増し、腸の運動も活性化されますが、水分が足りていないと便が硬くなってしまう恐れがあります。

一方、水に溶けやすい水溶性食物繊維の特徴は、ヌルヌルして粘度が高いことです。そのため腸のなかで水分を抱き込んでドロリとしたゼリー状に変化します。ゼリー状になった食物繊維は、消化の過程で生じた老廃物や毒素など、体にいらないものや、有害なものを吸着し、便として排出してくれるのです。

また、腸内にいる善玉菌のエサにもなります。これによって善玉菌が増え、腸内環境が良好に保たれるのです。ダイエットでカロリーを気にするあまり、食物繊維の摂取量が少なくなり、結果的に腸のはたらきが悪くなってしまっている人がいます。
しかし、よく探せば食材のなかにはカロリーが低くて、食物繊推量が多く含まれるものはたくさんあります。
たとえば、寒天など海藻類、キノコ類などがその代表的なものです。そばも穀物ではありますが、ご飯と同じカロリーなのに、より多くの食物繊維量を含んだ食材です。

食物繊維の摂取量を工夫しても快便にならない場合には、トクホのイサゴールなどもいいでしょう。

腸の偏食ストレスを抱え、カロリーが気になる人は、こうしものを選ぶといいでしょう。

欠食・偏食を取り去る食べ方のポイント

  • 炭水化物を中心に、野菜や果物、キノコ類、海藻類、魚や肉など、バランスのいい食事を摂る。
  • 高食物繊準低カロリーの食事を意識する。
  • 朝食をしっかり摂り、寝る3時間前までに夕食はすませるようにする。

低体温を取り去る食べ方

低体温ストレス
低体温ストレス

低体温については、免疫力を低下させてしまうということで紹介していますが、体を温めて、腸を動かすのに最適なメニューがあります。それは、もはや国民食として定着しているカレーです。

本格カレーの腸を温める効果

カレーライスを食べたあとには、ジワッと汗をかき、体はて全体が火照るような感覚になったことがあるはずです。それはカレーに含まれるシナモンやジンジャーなど300種類以上が入っているとされるスパイスによるものです。

このスパイス効果について、興味深い研究があります。日本薬科大学による、本物のカレーと、比較のために作られた疑似カレーを、冷え症の女性に食べてもらい、体表温度や深部温度を測定した実験です。

なお、本物のカレーには、シナモン、ジンジャーなどのスパイスがたっぷり入っています。その結果、疑似カレーでは一時的な体温上昇は見られるものの、食後しばらくすると体温は元に戻ってしまいました。

一方、本物のカレーを食べたグループでは、90分後も体温が上昇し続けたことが確認されています。この実験からもシナモンやジンジャーなどのスパイスが豊富なカレーは、体を温めるには持ってこいの食事だといえるのです。

では、どのようなスパイスが温め効果をもたらすのでしょうか。カレーに含まれる主なスパイスといえば、ターメリックです。一般的にカレーの黄色は、このターメリックによるものです。

カレー粉の約40%がこのターメリックによるスパイスだそうです。生薬ではウコンとしても知られており、抗菌作用、健胃作用、代謝克進、血行促進作用などがあります。ウコンの効能、効果についてはこちら。

ここ最近の研究ではがん予防に対する報告もあるほどです。また、動物実験ではありますが、ターメリックの色素成分であるクルクミンに、腫瘍の増殖を抑える効果が認められています。ほかにも、シナモンやジンジャー、カルダモン、クミン、コリアンダー、クローブ、チリペッパーなど、体にいい効能を持つスパイスが豊富に含まれています。

このように、カレーはさまざまな効果が期待できるスパイスの宝庫です。市販のカレー粉やカレールウにも含まれていますが、スパイスから手作りしたほうがたくさん摂取できます。たまには本格カレーを作ってみてもいいかもしれません。そうすれば、腸を長時間温めてくれる、おいしくて、より健康にいいカレーができあがります。
カレーが心筋梗塞の予防にというのもかなり興味深いです。
カレーを週に何回か食べれば、腸のためにも心臓のためにもよさそうです。

シナモンジンジャーの温め効果

さきほどのカレーのスパイスの中にシナモンやジンジャーが温め効果があるということで紹介しましたが、こおn2つを合わせて飲んでしまおうというものです。
「シナモン(桂皮)」と「ジンジャー(生姜)」は、古くから漢方製剤として使用される素材でもあります。
材です。
シナモンの主成分は、ケイヒアルデヒドには、血流を増加させる作用があり、末梢血管を拡張させる作用が確認されています。つまり血管を拡張して血行をよくする作用が期待できるのです。

ジンジャーは、ショショウガ科の草木で、有効部分は根茎です。マウスによる実験では、ジンジャーの辛味成分のうち「6-ショウガオール」や「10-1ショウガオール」という物質に、体温の降下を抑制する効果が認められています。「6-ショウガオール」は、生の生姜にも含まれています。

ジンジャーは、西洋でも、胃腸への薬効が高いハーブとして古くから愛用されており、消化管のはたらきを整え、胃腸にたまったガスを排出させる作用もあります。

このシナモンとジンジャーがともに使用されている漢方製剤に、「桂枝加芍薬湯」と薬があります。この桂枝加芍薬湯は、芍薬やシナモンを主成分に、ジンジャー、甘草などから構成されます。

桂枝加芍薬湯は、体が冷えやすい人や、胃が弱い人に有効とされる薬で、お腹の張りが強かったり、痛みがある人に処方されます。桂枝加芍薬湯についてはこちら。

とくに虚証といって、冷感を伴う人に向く漢方薬で、軽い便秘や、便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群の治療薬としても処方されてきました。

こうした薬効をから気軽に日々の食事に取り入れやすい「シナモン・ジンジャー・ティー」です。市販のシナモンの粉末とジンジャー、適量のオリゴ糖をカップに入れ、お湯を注ぐだけの簡単なものです。

実際にどれくらい温め効果があるのかが重要ですが、どちらも飲んですぐは、体温上昇が認められました。しかし、時間の経過とともに差が出てきました。

シナモンとジンジャーには体温上昇作用があるというよりは、温かいお湯によって一時的に上昇した体温の低下を防ぐ作用、つまり体温保持作用があることがわかりました。
温かいシナモン・ジンジャー・ティーによって、体温を上昇させ、少しでも長い間、体を温めておくことは、腸を温めて、動かすのにとても有効です。

エキストラバージンオリーブオイルのみにある高い保湿力

腸の保温効果においてエキストラバージンオリーブオイルはすぐれた効果があります。東日本大震災時に、震災後、急激な環境の変化によるストレスで便秘になったり、トイレ不足が原因の便秘など、さまざまな腸のトラブルが多数起きました。
それに関して、日常生活や日常品を用いて解決できることはないかと多くの人が考えました。

当時は、季節的にもまだ寒く、お腹が冷えてしまうことも問題になっていました。阪神淡路大震災のときには、被災者の約40% が、被災後に便秘になったそうです。やはりこのときも1月の寒い時期でしたので、お腹の冷えの影響は大きかったのでしょう。

お腹の冷えを解消するには、直接温かいものを飲むことが有効です。たとえば、白湯です。寒い時期に白湯を飲むだけでいくらか体が温まります。

しかも水分を摂取することで便秘の解消にも効果があるでしょう。しかし、これだけではなかなか排便促進に至りません。

そこで、排便促進効果を持つエキストラバージンオリーブオイルを摂るように考えました。オイルそのものだけでは、その味に抵抗を感じる人もいるようなので、たとえば、災害避難時だったこともあり、手に入りやすく調理も簡単なカレー味のカップ麺に、エキストラバージンオリーブオイルを入れて摂取してもらいました。

カレーにオリーブオイル? と思う方もいるかもしれませんが、とてもおいしいのです。しかも、お腹の温かい感覚が、ただのカップ麺よりも長い時間持続するように感じられたのです。

次のような実験があります。80度の白湯180mlを300mlのビーカーに入れたものと、80度のお湯に小さじ1杯(約5ml)のエキストラバージンオリーブオイルを入れたビーカーとで、時間経過とともに低下する温度の差を比べてみました。すると、50分後になんと7.4度の温度差が生じたのです。
それは想像以上のものでした。油なら同じように効果があるかというと、そんなこともなく、同時にサラダ油との比較もしましたが、エキストラバージンオリーブオイルのほうが高い保温力があることがわかりました。

その秘密は「油膜」にあります。サラダ油などに比べて、エキストラバージンオリーブオイルの油膜は均一に薄く広がった状態が保たれるために、すぐれた保温効果を発揮するのだろうと考えられます。

就寝前ならオリーブココアがおすすめ

このオリーブオイルの保温力をさらに高め、腸を温め、動かすための飲み物として考案したのが、「オリーブ・ココア」です。これは、オリーブオイルとココア、オリゴ糖にお湯を加えたもので、おいしく飲めて、冷えと停滞腸(便秘)にとても有効な飲み物です。

冬の寒い季節にはとくに、体を温めるだけでなく、腸のはたらきをよくしてくれるので、おすすめです。オリーブ・ココア300ml とただのココア300mlとで、飲用後の体温を比較試験してみたところ、多くのケースで、オリーブ・ココアのほうが体温保持効果が高いという結果が出ました。

さらに、2 時間後の値で0.2度以上の体温上昇が見られた7例のうち、男性1例を除く6例の女性は、いずれも冷え症で、体型はどちらかというとやせ型、食後に下腹部がふくらむ胃下垂タイプの人だったことです。

また、1例の男性の場合も、冷え症ではないものの、どちらかというとやせ型でした。ここからわかることは、やせ型で冷え症の女性にとくに効果があるということ。そして、女性はおおむね胃下垂の人が多いことから、胃下垂傾向の人に効果的である、ということです。

空腹時にオリーブ・ココアを飲めば、当然オリーブ・ココアのみが胃のなかにたまります。その際、油膜ができるので、ココアが冷めにくくなることが推測され、ココアの熱が徐々に体に移行し、体温が上昇したものと考えられます。

普通のココアでは、油膜ができずにすぐに冷めてしまうため、体温の上昇が続くまでには至らなかったのでしょう。さらに、オリーブ・ココアには、腸にうれしい効果もあります。ココアには食物繊維が含まれていること、さらに甘味料としてオリゴ糖を使用しているので、善玉菌であるビフィズス菌を増加させる効果、またオリゴ糖そのものの排便促進効果が期待できることです。

また、オリーブオイルに含まれるオレイン酸の小腸刺激作用による排便促進効果などが加わるので、冬のお腹が冷えた停滞腸や、冷えによる便秘の悪化に対して、まさにうってつけの飲み物だといえるでしょう。先のシナモン・ジンジャー・ティーはシャキッとする午前に、オリーブ・ココアは午後や寝る前などにおすすめです。

砂糖は使わずに善玉菌を増やすオリゴ糖を摂る

オリゴ糖は、腸内環境をよくしてくれるので、ぜひとも日常的に摂取したいものだからです。オリゴ糖は、単糖(炭水化物を分解したときに、これ以上分解できない最小単位)が2~20個結びついたもので、砂糖の主成分となっている糖や麦芽糖など、小腸で吸収されやすく、エネルギー源となるものも含みますが、人間の消化酵素では消化されない成分も含まれています。

これらは分解されることなく大腸まで到達し、善玉菌の代表であるビフィズス菌のエサとなります。つまり、オリゴ糖は、腸内の善玉菌を増やし、腸内の環境をよくしてくれるのです。

市販されているオリゴ糖には、乳果オリゴ糖や大豆オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖などがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
ヨーグルトに混ぜるとオリゴ糖はとてもおいしいです。

オリゴ糖が多く含まれる食材には、ネギやタマネギ、キャベツ、ゴボウ、納豆などが挙げられます。また、バナナやリンゴなどの果物にも豊富に含まれていますので、毎朝、果物を食べたり、ジュースなどにして飲むことで簡単に摂取できます。

摂取の目安は1日に3~5g ですが、前記のような食材を通して日常的に摂っているので、ふだんのメニューに、果物や豆乳などを追加するだけで、無理なく必要量を摂ることができるはずです。

低体温ストレスを取り去るには
  • スパイス、野菜たっぷりのカレーを食べる。
  • 温かい食材にエキストラバージンオリーブオイルルをティースプーン1杯程度かけることで、腸の保温効果がより高くなる。
  • 朝は、ナモン・ジンジャー・ティー、夜はオリーブ・ココアを飲む。

酸化ストレスを取り去るための食べ方

酸化ストレス
酸化ストレス

酸化ストレスについては大量の活性酸素が腸内をサビさせてしまうということを紹介しましたが、活性酸素を取り去るための食べ方を意識することが大切です。

日常の生活で活性酸素が発生することは避けられません。活性酸素は、細菌やウィルスを殺すという免疫機能に欠かせないプラスの作用もありますが、過剰な活性酸素は体をサビつかせ、悪影響を与えてしまいます。

そのため、人体には活性酸素を消去する抗酸化システムが装備されています。このシステムにおいて、重要な役割をはたしてくれるのがファイトケミカルのなかの抗酸化物質です。

ファイトケミカルは、ギリシャ語で植物を意味するファイトと、英語で化学を意味するケミカルからなる言葉です。つまり、この物質は植物に含まれる化学成分の総称です。
この物質は、動物のようには動けない植物が、紫外線や雨、外敵などから身を守るために作りだした天然成分で、その約90%は野菜や果物など、人が日常的に食べている食品に含まれています。その種類はなんと約1500種類ほどともいわれています。

たとえば、ファイトケミカルが豊富に含まれている植物や野菜は、強い雨にさらされても簡単には腐りません。また、動物に食べられないために、独特な臭いや苦味の成分を持っているものもあります。ファイトケミカルは、植物だけが作れる成分であり、人間や動物が作りだせるものではないこと。

さらに、これまでの栄養学では定義することができない7番目(その他は、5大栄養素である炭水化物、たんばく質、脂質、ビタミン、ミネラルと、食物繊維の6つ)の栄養素である、という2点に特徴があります。ファイトケミカルは、以下のように6種類に大別できます。

  1. ポリフェノール
    植物の色素や灰汁の成分などで、抗酸化力が強い。エキストラバージンオリーブオイルのオレウロペイン、赤ワインのレスベラトロールなど。
  2. 含硫化合物(硫黄化合物)
    ニンニクやタマネギなどの香りのもとで、ブロッコリーや白菜などのアブラナ科の野菜のイソチアネート類、ワサビやカラシのアリルイソチアネート、ニンニクやネギなどのシステインスルホキシド類などがある。
  3. 脂質関連物質
    人参のβカロテン、トマトやスイカのリコピン、ホウレンソウのルチン、ミカンのβ-クリプトキサンチンなどがある。
  4. アミノ酸関連物質
    アスパラガスのグルタチオンなど。
  5. 香気成分
    バナナなどの香気成分であるオイゲノール、柑橘類のリモネンなど。
  6. 糖質関連物質
    キノコ、大麦のβ-グルカン、海藻のフコダイン、リンゴのペクチンなどがある

さらに、ファイトケミカルを含む食品を効能別に見ると、以下のように分類されます。

  1. 抗酸化作用を持つもの
    エキストラバージンオイル、赤ワイン、赤じそ、クランベリー、緑茶、トマト、スイカ、タマネギ、ニンニクなど。
  2. 発がん物質を抑制するもの
    ブロッコリー、キャベツ、白菜(以上アブラナ科の野菜)、ワサビ、カラシ、マスタード、ニンニク、ネギ、大豆、スイカ、トマト、キノコ類など。
  3. 免疫力を高めるもの
    キャベツ、ニンニク、ネギ類、クランベリー、キノコ類、バナナ、ニンジン、海藻類、白菜など。

ファイトケミカルが多く含まれる果物にはそのほかに、キウイ、グレープフルーツ、マンゴー、ブドウ、オレンジ、リンゴ、スイカ、モモ、ナシなどがあります。
これらの食材とはたらきを覚えておき、腸を酸化ストレスから守るためにも、毎日の食卓に意識して取り入れたいものです。

エキストラバージンオイルの強力な抗酸化作用

抗酸化物質を含む食品のなかでも、その強い抗酸化作用で注目を浴びているのがエキストラバージンオイルです。がん細胞は人間の体内で毎日のように発生しています。しかし、免疫システムが通常通りはたらいていれば、その増殖は抑えられます。この免疫力を維持するためにも、抗酸化物質は重要なはたらきをするのです。

というのも、免疫システムは、体内環境が整っていないと十分に力を発揮することができません。免疫力を強くするためのポイントは、免疫細胞がはたらきやすいように、活性酸素が少ない環境を整備してあげることなのです。

エキストラバージンオリーブオイルには、抗酸化作用を持つ物質が4種類(ポリフェノール、ビタミンE、葉緑素、オレイン酸) も含まれています。ほかにも、オリーブオイルは細胞膜を丈夫に保つはたらきがあることも動物実験で確認されています。

人間の体は60兆個ともいわれる細胞で構成されています。それらの細胞を構成する細胞膜に障害が起こると、それがきっかけで、がん発生のリスクにもなってしまいかねません。

このように、オリーブオイルの効果は細胞膜レベルでも明らかになりつつあります。最近の動物実験では、サラダ油などに含まれるリノール酸を食べさせたマウスでは大腸がんの発生頻度が高くなり、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸を食べさせたマウスではこうした傾向が見られなかったということがわかっています。エキストラバージンオイルは、抗酸化作用ばかりではなく、大腸がんを予防する可能性を秘めているといえるでしょう。

発がんへのきっかけを抑制

がんと食事の因果関係が初めてわかったのは、1975年に実施された世界各国の調査がきっかけでした。それによって、動物性脂肪の摂取量が多いほど、大腸がん、乳がん、前立腺がんなどになりやすいことが判明したのです。

逆に野菜などがガンを防ぐ効果は現代でもよく耳にします。

などが代表的です。

理由のひとつは、動物性脂肪には主に飽和脂肪酸が多く含まれていること。飽和脂肪酸とは常温で固まる性質があるため、体内に入ると、血液の粘度を高めて流れにくくしてしまいます。

そのうえ中性脂肪や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の合成を促し、これらが血管壁に入り込みやすくします。この物質がマクロファージなどの免疫細胞の受容体であるTLR4に結合して、炎症を起こすことがわかっており、この炎症によってがんの進行が促進されると考えられるのです。

一方、青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸) は、常温では固まりにくいうえ、TLR4に飽和脂肪酸が結合するのをブロックして炎症が起こるのを抑制してくれます。つまり青魚の脂であるDHA、EPAなどは、炎症を抑えて、がんの成長を抑制するはたらきが期待できるのです。
さらに血液もさらさらにします。
血栓の予防にEPA・DHA

体内のコレステロールのうち、食品から摂取されるのは20~30%前後で、残りの70~80%は動物性脂肪から肝臓で合成されたものです。体内で作られるコレステロールは1 日平均約l~2 g ほどで、それと同程度の量が体外に排出されています。

そのうち約3分の1は胆汁酸であり、しかもこの胆汁酸は、腸内細菌によって二次胆汁酸に変化します。この二次胆汁酸こそが、実は発がんの原因物質と見られており、とくに大腸がんへの影響が強く疑われているのです。

動物性脂肪を多く摂取すると、それだけ多くのコレステロールが作られ、腸内に大量の二次胆汁酸が発生してしまうことになるわけです。

また、この二次胆汁酸自身が活性酸素を発生させ、がん遺伝子に突然変異を起こして、発がんに結びつくことも、最近になってわかってきました。

オリーブオイルに含まれる多種類の抗酸化物質には、これらの発がんへの反応を抑制するはたらきが期待できます。事実、オリーブオイルや魚、野菜、果物を多く摂取する地中海型食生活を送るギリシャでは、ほかの地域に比べて大腸がんや乳がんの羅漢率が低かったという調査結果もあります。

1960年代、アメリカの医師らの研究では、脂肪摂取量が低い値であった日本では大腸がん(結腸ガン)の死亡率は低く、脂肪摂取量の多かったアメリカなどの北米では、大腸がんの死亡率は高かったと指摘されています。

しかし、アメリカなどと同程度の脂肪摂取量であったイタリアでは、大腸がんの死亡率は低かったのです。このことは、アメリカに比べてEエキストラバージンオリーブオイルの摂聖里が多く、肉類や乳製品などへの動物性脂肪の摂取量が少ない、つまり脂肪の摂取内容の差によるものだと示唆されるのです。

ガン予防に効果的なカルシウム

カルシウムは、骨の材料になるだけではありません。2007年の世界がん研究基金/米国がん研究所の「食品・栄養・身体活動とがん予防」と題された報告書には、がんのリスクを低下させる物質としてカルシウムが、ほぼ確実に効果がある栄養素として挙げられていました。

なぜ、カルシウムが大腸がんに効果があるのか。脂肪を摂取すると胆汁の分泌量が増えます。胆汁に含まれる胆汁酸が酸化した二次胆汁酸は、大腸がんの引き金になりやすいことがわかっています。まだ実験段階ですが、カルシウムにはこの胆汁酸を吸着し、便中に排出するはたらきがあることがわかってきました。

1990年代に発表された海外の疫学的研究においても、食事やサプリメントでのカルシウム摂取量の多い人は、大腸がんの発症リスクが抑えられると結論づけられています。

とくにカルシウム摂取量が多いグループの大腸がんになるリスクは、最も少ないグループに比べて2%も低いという結果でした。カルシウムを多く含む食品は、体への吸収率がいい順に、牛乳や乳製品、豆類、ダイコンの菓や春菊、小松菜などの線の野菜、海藻やエビ・小魚類などがあります。

酸化ストレスを取り去る食べ方
  • ファイトケミカルを含む野菜・果物をたくさん食べる。
  • エキストラバージンオリーブオイルを日常的に摂取する。
  • カルシウムを意識して摂るようにする。

免疫ストレス「急増するガン、アレルギー症状との関連も」

免疫力
免疫力

便秘の症状に困り果てたAさんは、生活をよくよく振り返ってみると、便秘だけでなくほかにもさまざまな症状に悩まされていました。若い頃はテニスやスキーなどスポーツが得意で体力が自慢だでした。

しかし、スポーツから遠ざかって10年以上経過した30代後半なった頃から、疲れが取れにくく風邪を引いても治りにくいなど、体力の低下が気になり始めたそうです。

便秘の症状が出始めたのも、ちょうどその頃と重なります。介護の仕事に就いているAさんは、仕事場での過労やストレスがそれらの原因ではないかと考えていました。

しかし、問題はどうもそれだけではないようなのです。たとえば、食事はきちんと1日3食を摂るよう心がけていたそうですが、実際にはその時間帯はまちまちで、昼食が夕方頃になったり、夕食を摂るのが深夜になることもしばしばで、ときには忙しさのあまり昼食を抜いてしまうこともあったそうです。

そのため、その内容もおのずとインスタント食品などが多く、自炊はごくまれだったとのこと。しかも、便秘がひどくなってからは、肌荒れも気になるようになり、それがまたストレスになるという悪いスパイラルにはまってしまったようです。

Aさんの不調の原因はいったいどこにあるのでしょうか?

これまで見てきたように、私たちの健康と腸内環境は、とても深く結びついています。そのひとつの要因が、腸の免疫機能にあります。
腸管には体内で最大の免疫器官があります。そして、この腸内の免疫と腸内細菌には密接な関係があることがわかっているのです。
腸には、約500種類、100兆個の細菌がすみついています。それら腸内細菌は、乳酸菌に代表される「善玉菌」と有害な「悪玉菌」、さらに腸内の環境によっては、そのいずれにもなりうる「日和見菌」を加えて3種類に分類できます。

腸管の内側、腸壁に無数にあるひだのなかに群生するこれらの細菌のうち、善玉菌は食べ物の消化・吸収の促進、ビタミン合成、腸管運動の促進だけでなく、腸内を酸性にして、痛原菌をやっつけたり、免疫力を高めてくれたりもします。乳酸菌やビフィズス菌などはその代表です。

一方、ウェウルシュ菌やブドウ球菌、大腸菌などに代表される悪玉菌は、腸内をアルカリ性にし、腸内の腐敗を引き起こし、発がん物質や毒素のある有害物質を生み出します。
体の抵抗力を弱め、下痢や便秘の原因にもなります。腸内ではこれら善玉菌と悪玉菌が絶えず勢力争いをしており、ちょっとしたバランスの変化によって、一気に変わってしまいます。

たとえば、食事内容や睡眠、ストレスや健康/状態などが、腸内細菌のバランスに大きな影響を与えているのです。実はこの腸内細菌のバランスが、免疫システムにとても重要です。近年、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状に関して、腸内細菌との関わりが指摘されています。
花粉症はは腸を整えて根治する

アレルギー症状は、現代人にはおなじみですが、免疫機能の過剰反応によるものです。近年の研究によれば、アレルギー患者とそうではない健康な人では、腸内細菌叢(さまざまな腸内細菌が集まった状態) に違いがあることが指摘されています。

善玉菌をサポートする細菌群の多い人はアレルギー疾患にかかりにくい傾向がある、という報告もあるほど。アレルギー疾患のある人の腸内細菌叢の異常は、花粉症などアレルギー症状が発症する以前から認められることから、腸内細菌叢の異常と、アレルギーの発症には何らかの関係があると考えられています。

このように、腸内細菌のバランスは、免疫システムにおいて重要な位置を占めている、と考えられるのです。

欠食・偏食ストレス」でも紹介していますが、1日1食など食事量を極端に減らしてしまうと、その分、体重は減るかもしれませんが、それに伴って筋肉量も落ちてしまいます。この筋肉量の減少もまた、「免疫ストレス」を増大させることになるのです。

免疫を担う細胞やリンパ球などの栄養分になつているのが、アミノ酸の一種である「グルタミン」。実はこのグルタミンは筋肉から供給されているからです。
そのため、食事の量を極端に減らすと、それに伴ってたんばく質の摂取量が減り、筋肉量も減少するので、いざというときにグルタミンの供給量が不足してしまうことになります。その結果、リンパ球がうまくはたらかずに免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなるなどの悪影響が心配されます。

Aさんが気になっていた疲れや、風邪が治りにくいなどの症状は、グルタミン不足による免疫力の低下が原因ではないかと考えられるのです。食事の大切さは健康を害したときにしか自覚できませんが、これを機に食事の大切さを理解してほしいと思います。いいかげな食習慣=腸ストレスなのです。

心理ストレス「過敏性腸症候群などをもたらす、腸と脳の関係」

IT企業でのストレス
IT企業でのストレス

次の例はIT企業に勤める男性Dさんのケースです。Dさんは、40歳と同時に転職を決意し、現在の会社に就きましたした。環境の変化をきっかけにめきめきと頭角を現し、また社内での人望も厚く、これまで順調に昇進を重ねてきました。やる気に満ちており仕事への情熱も最高潮でした。

手がけた仕事の社外評価は高く、仕事へのやりがいも感じており、会社での待遇に対する不満もいまのところはなく、すべてが順調だと感じていたようです。

しかし、ここに思わぬ落とし穴がありました。真面目な性格のDさんは、その丁寧な仕事ぶりが評価されてきたわけですが、昇進するにつれて重くなつていく責任と、求められる結果が次第に大きくなっていくことに、いつしかプレッシャーを感じていたのかもしれないといいます。というのも、仕事そのものは順調だったため、ストレスを感じているという自覚がなかったのです。

しかし、そんなプレッシャーに最初に反応したのは、Dさんの腸でした。いつしか、便秘と下痢を繰り返すようになりました。ときどき症状は収まるものの、すぐまたぶり返すなど、一向に改善する兆しがないため、心配になつたDさんは検査をしました。

診断結果は、過敏性腸症候群。仕事のストレスが原因ではないかと指摘すると、初めて自分が感じていたプレッシャーに気づきました。

現在、Dさんのように、過敏性腸症候群を訴える人が増えています。その主原因は、ストレスフルな社会環境にあるといえるでしょう。
経済の急速なグローバル化に伴い、企業間の競争はサバイバル戦の様相を呈しており、労働環境は厳しさを増すばかりです。また、日常生活においても家事や育児、介護などに忙しく、息つく暇もないといった嘆きも聞かれます。実は、腸はこうした心理的なストレスをを感じやすい器官なのです。

たとえば重要な商談や面接に臨む際に、緊張のあまりお腹が痛くなったことがあるはずです。あるいは、旅行や転勤などのように急激な環境の変化によって、便秘になってしまったという人もいるでしょう。

それは心理的なストレスが、腸にとても大きな影響を及ぼしていることの証でもあります。では、なぜ腸は心理的ストレスに弱いのでしょうか。

腸は、脳に次いでたくさんの神経細胞があることから、「第2 の脳(セカンド・ブレイン)」といわれています。そのメカニズムはよくできたものです。腸管を食べた物が通過すると、腸管の筋肉にある神経がこれを感知します。

するとホルモンの一種であるセロトニンという神経伝達物質を介して腸管を動かすよう命令が伝わります。このような連動がぜん動運動へとつながり、腸の活動がスムーズに行われるのです。

つまり、腸には独立した「脳」があるといっても過言ではないのです。腸はこのような独立した神経系を持つ一方で、脳とも密接に結びついています。ぜん動運動によって便が直腸に達したところで私たちは便意を感じるのですが、これは便を受けた直腸が、脳に「便が届いたよ」という信号を出すからです。

このような腸と脳の密接な関係については、近年とくに注目が集まっているのです。腸の異常は脳に、脳の異常は腸に大きな影響を及ぼすこともわかってきています。

そして多くに共通するのは、「イライラ」や「ウツウツ」とした心理的ストレスを抱えている点です。これは腸の異常が脳に伝わるためではないかと考えられます。また、脳がストレスを感じると、これが腸の神経にも伝わり、お腹の調子が悪くなってしまうのです。

欠食・偏食ストレス「腸のリズムを狂わせ、便秘などを引き起こす」

偏食
偏食

食事の量を極端に減らすダイエット法の問題点は食物繊維も同時に摂取量が減ってしまうため腸ストレスに結びついてしまいますが、偏食や食事抜きによる悪影響はそればかりではありません。

偏食ストレスによる体の不調を訴えるAさんのケースを見てみましょう。会社員のAさんは、極端に朝が弱く、出勤時間に間に合うギリギリまで寝ているタイプでした。

もちろん朝食を食べる時間はありません。朝早く起きられたとしても、お腹がすいていないため、ほとんど朝食を食べていませんでした。
ダイエットにもなりそうだからと、むしろ意図的に朝食を抜くこともありました。朝食を抜くなど不規則な食生活をしている一方で、ダイエットや健康に興味を持っていたので毎日ではないものの積極的に玄米食を摂るようにしていたそうです。

しかし、そんな生活を続けるうちに、常にお腹が張っているようで、いつしか食欲もなくなり、昼と夜は食べていたものの、その量はさらに減っていきました。その原因を、仕事のストレスによるものだろうと軽く考えていましたが、しだいに仕事の疲れが抜けにくくなり、日中ずっとつきまとう倦怠感が気になり始めました。

Aさんの体に何が起こっていたのでしょうか。「腸の欠食・偏食ストレス」についての問題点です。

朝食や、あるいは夕食を抜くなど、不規則な食生活や、健康によいからと玄米やヨーグルトばかり食べてしまうなど偏った食生活による「欠食・偏食ストレス」は、腸のはたらきを停滞させてしまいます。

実は腸にとっては、何をどれだけ食べるかだけでなく、そのタイミングも重要です。食べたものが胃腸に入ると、副交感神経のはたらきによって胃・結腸反射という反応が起こります。
貯留していた食物残注が下行結腸まで移行すると、大ぜん動が起きて便が一挙に直腸まで運ばれて、排便に結びつきます。

朝はまさに副交感神経が優位になっている時間帯です。このときにしっかりと食べれば、反射的に大腸が収縮する胃・結腸反射が起こり、それと同時に大ぜん動が起こります。

これによって、下行結腸やS状結腸にたまっていた便を直腸まで強く押し出し、排便を促すことができるのです。日に数回起こる腸のぜん動のなかでも、朝の時間帯が最も強いことが知られており、それは副交感神経が活発で、さらに腸神経もはたらきやすい状態にあるからです。

このように、腸が最もはたらきやすい朝に食事を抜くとどうなってしまうでしょうか。まず、胃・結腸反射が起こらず排便が滞ります。すると腸のはたらきは停滞し、お腹が張ったり、便秘がちになるなどの症状が出てきます。

このように、腸にとっては「何を、いつ、どれだけ食べるのか」が重要です。腸に定期的に刺激を与えて動かすには、3食しっかり食べること。とくに朝食は抜かない。これが鉄則です。

低体温ストレスが免疫力も下げてしまう理由

低体温
低体温

低体温ストレスは、腸の不調だけではありません。近年はさらにさまざまな病気との関わりが注目されており、たとえば免疫力と冷えとの関係も明らかになってきました。

細菌やウィルス、がん細胞などから私たちの体を守ってくれる免疫機能を担っているのが、白血球中の顆粒球やリンパ球です。これら免疫細胞が最も効率よくはたらくためには、ある程度の体温が必要です。

健康な人を対象にした実験では、「体温が高い人ほどリンパ球の数が多い」ことがわかっています。つまり、体温が高い人ほど病気にかかりにくいといえるようです。逆にいえば、体温が低下するとリンパ球の数が減少し、免疫力に悪影響を及ぼす可能性があるということでもあります。
ただし、体温が1皮下がると免疫力が何割り下がるというようなことがいわれたりしますが、まだ確かなことはわかっていません。

なお、早期胃がんの患者さんと健康な人を対象にリンパ球の数を比較した調査では、ガン患者さんのほうがその数が少なかったことが確認されていますし、進行性の胃がんや大腸がんの患者さんによる同様の調査によれば、リンパ球の減少がさらに顕著だったという報告もあります。
したがって、免疫力を維持するためにも、体を冷やさないことはもちろん、「人体最大の免疫器官である」腸を温め、「低体温ストレス」から腸を守ることが大変重要なのです。

低体温ストレス「冷えが、腸のはたらきを低下させ免疫力も低下」

低体温
低体温

少し前だったら子供に向けて「お腹を冷やすな」とよく注意さましたがが、最近はそういったことを言う大人もずいぶん減りました。

近頃では1年を通して、足やお腹を露出しつつ、コートだけは着ているというような薄着の若い女性も目立ちます。26 歳のBさんの例です。
Bさんは、長年、慢性的な便秘に悩んでおり、とくに冬場にその症状が強く表れていました。実は、こうした症状の原因の約ほとんどは「冷え」なのです。
便秘は冷えが原因というサイトを見ると、さまざまな冷えによる腸へ悪影響が紹介されています。

体が冷えることで腸のはたらきが停滞し、便秘を招きやすくなってしまうのです。Bさんも以前から冷えの自覚症状を持っていました。
彼女は、冬場でも、湯船にじっくりとつからずに入浴をシャワーのみですませていたり、寒いからと外出を控え、ほとんど運動をしないなど、薄着以外にも冷えを招きやすい習慣が見つかりました。

こうした日常の生活習慣が積み重なり「腸の低体温ストレス」を増大させていたのです。さらに最近では夏の暑さがいつまでも続く分、秋が短くなって一気に冬の気温になる、という季節変化パターン化しています。

この温度の急激な低下や落差も、低体温ストレスを招く原因と考えられます。Bさんが特別ではなく最近の女性の典型的パターンです。
「腸の低体温ストレス」は、腸の不調ばかりではなく、抵抗力も弱まりますので、冬場には風邪を引きやすいなど、さまざまな病気を招きやすくなっています。まさに「冷えは万病のもと」なのです。

体温調整が乱れる日常の生活習慣

ここ最近、低体温症という言葉を耳にする機会が増えてきました。それだけ現代人の体は「低体温ストレス」にさらされやすくなつているといえるのかもしれません。
人の体温は37度に神が定めた によれば頑張って働いて、ストレスに耐えて、体はもう悲鳴を上げています。その悲鳴が「低体温」です。人間の体温は、本来、37度が自然なのです。
37度あったら風邪気味?かと思ってしまいます。でも本来は37度が正常ということなのでやっぱり低体温であることに間違いあいりません。

そもそも「冷え」とは何でしょうか。この概念は東洋医学的なもので、西洋医学には存在しません。西洋医学的に「冷え」は循環不全、つまり血行の不足、または代謝の低下によって起こる熟再生不足と捉えられます。

わかりやすくいえば「血行不良」です。この血行不良によって、栄養素は全身に回りにくくなり、細胞のはたらきが低下してしまいます。
その結果、熱産生率も下がり、さらなる体温の低下を招く、という悪循環を引き起こしてしまうのです。ただ、「冷え」は体の防御反応のひとつでもありますので、冷えを感じることは体が正常にはたらいていることの証です。

健康な人の場合、体が冷えたとしても衣類を着たり、体を動かしたりすることで温まり、それによって血行がよくなれば冷えも改善されます。

これは寒さによって収縮していた血管を拡藤させたり、暑くなれば汗をかいて体温を下げようとする体温調節機能によるものです。
この体温調節機能は自律神経によってコントロールされています。ところがBさんのように慢性的に冷えにさらされていると、自律神経のはたらきが乱れるようになり、体温調節機能が正常に機能しなくなってしまうのです。

この慢性的な冷え症は、停滞腸の原因にもなります。20~40代の女性の多くは便秘に悩んでおり、同時に「冷え」を訴える人が非常に多いです。

「夏のエアコンが苦手で膝かけが手放せない」「冬の寒い時期には、靴下をはかないと眠れない」など、とくに冷えの症状が悪化したときに、便秘もひどくなる傾向が見られます。

それは慢性的な冷えによって、自律神経が正常にはたらかなくなったために、交感神経が刺激され、腸のはたらきが停滞してしまうからです。

また、動物実験では、腸への血流量が減少すると腸管の運動が鈍くなることがわかっています。つまり、交感神経が優位な状態が続いて血管が収縮すれば、血行が悪くなり、腸に行く血流量も減少します。

その結果、腸管運動が低下すると考えられるのです。そもそも、女性はなぜ冷えやすく、停滞陽や便秘になりやすいのでしょうか。

その原因として一般的には次のようなことが挙げられます。

  1. 女性は男性に比べて筋肉の量が少ないうえ、運動不足などによって、基礎代謝量が少なく、消費するエネルギーの量そのものが少ない。
  2. とくに最近の若い女性の場合、背が高く手足も長いので、体の表面積が大きくなってしまっている。
  3. 住宅でいえば断熱材の役割を果たすべき皮下脂肪が少なく、放熱量が多い。

などです。こうした条件から浮かび上がってくるのは、身長が高くてやせている、ファッションモデルのような女性です。最近の若い女性が理想とする体型そのものです。

それらのほかにも、とくに冬場は体が冷えてしまうからと水分摂取を控えてしまったり、寒いからと外出を控えて運動量が減少してしまうなどの要因が、腸のさらなる悪化を招いていると考えられます。

さらに、女性の場合はホルモンの影響で、月経前の黄体ホルモンが分泌されている時期(黄体期)は、とくに手足の末梢が冷えやすくなっています。
また、この黄体期には、腸管の動きが鈍くなりやすく、停滞腸や便秘になりがちです。中年以降の女性に多く認められる冷えの場合は、更年期によるホルモンバランスの乱れに加えて、加齢による基礎代謝の低下が原因であると考えられるのです。男性の場合も冷えとは無関係ではありません。とくに中年以降になれば、運動不足など影響で、筋肉量が低下して冷えを招きやすくなります。また、過度なストレスやビールなどの冷たい飲み物の大量摂取も、その引き金になってしまいます。