「玄米菜食」は腸にとってプラスに働くか

玄米菜食

玄米菜食


近年の自然食ブームのなかでも、「玄米菜食」は健康志向の高い女性に人気の高い食事法といえます。たとえば「快腸を維持するための玄米」などもあります。現代人は脂肪や糖分を過剰に摂りすぎ傾向なので玄米菜食は合っていると考える人が多いのもわかります。

この玄米菜食を徹底した食事療法であるマクロビオティックは、高血圧や糖尿病、メタポリックシンドローム、大腸がんなどの生活習慣病予防に有効であるとされています。

玄米菜食の食事療法には、マクロビオティック以外にもいろいろな流派がありますが、いずれも、全粒粉穀類や野菜を中心にした低脂肪の食事がその大きな特徴です。

しかし、この理想的に見える食事法にしても、必ずしもよいことばかりではありません。場合によっては、腸の状態を悪化させてしまうことがあるのも事実です。

なかでも、慢性便秘で悩んでいる人には注意が必要です。とくに症状がひどいときに玄米菜食にすると、お腹の状態はさらに悪化し、腹部膨満感がひどくなったり、便が硬くなって排便障害を起こしてしまうことがあります。

これは、玄米などの全粒粉穀物や野菜を多く摂ることになるので、食物繊維のなかでも水に溶けにくい不溶性食物繊維の摂取量が多くなりがちだからです。

不溶性食物繊維を多く摂る場合は、同時に水分を多めに摂るか、水に溶けやすい水溶性食物繊維を併せて摂ることが必要です。
便秘と下痢で食べ分ける(水溶性・不溶性食物繊維)などが大切なポイントになります。

こうすることで、便の状態を軟らかくすることができます。慢性便秘で悩む人のなかにも、玄米食が中心の食事をすることで、症状が悪化してしまった人がいます。
そんな方の大腸内視鏡検査を実施すると、上行結腸に未消化の玄米が多数残っているケースもあります。玄米は栄養面ではとてもすぐれた食べ物ですが、よく噛まずに食べると消化に時間がかり、悪くすれば未消化になることがあります。

腸が健康な人にとっては体によくても、慢性便秘症の人や、胃腸が弱っている人、ストレスなどで腸のはたらきが鈍くなつている人が、白米を食べるのと同じような感覚で玄米を食べると、消化できずに腸の状態をさらに悪化させてしまいかねません。

そういった場合、玄米を食べるとお腹が張ってしまうという自覚のある人、また腸の運動が低下傾向にある人は、腸の状態がある程度改善されてから、少しずつ玄米を摂るようにしたほうがいいでしょう。
何度も繰り返しますが、玄米はよく噛んで食べることで効果がでるので、時間がない人もあまりおすすめできません。
食事の時間を十分に確保でき、ゆっくり良く噛んで食べることができる人の場合、玄米菜食は腸にもいい効果をもたらすでしょう。

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