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食の欧米化は本当に日本人の腸ストレスを増大させてしまったのか?

食の欧米化

食の欧米化


諸外国の有名人が日本食を食べることがきっかけとなり、日本食の素晴らしさが世界的にも注目されている昨今、日本では農林水産省が中心となり、日本食文化の世界遺産化プロジェクトが進められています。世界中が糖尿病などの生活習慣病に頭を悩まされている中、和食はこの生活習慣病を解決してくれるかもしれません。

自国の食に関する分野をユネスコの無形文化遺産として登録する諸外国の動きがあります。たとえば、フランス美食術、地中海料理、メキシコ、トルコの伝統料理が社会的習慣としてすでに登録されています。

日本の食文化については、2013年にユネスコに登録されました。日本食は、穀物や魚、野菜、海藻類、そして発酵食品などを中心とした低脂肪、低カロリーのヘルシー食であるということから、世界でも注目が集まっています。

しかし、その一方で、当の日本では日本食離れが進み、食の欧米化(北欧米化)が進んでいます。2011年時点では、2人以上の世帯のパンの支出額が、主食であるはずのお米を抜いてしまいました。

そして、この「食の欧米化」が日本人の健康に劇的な変化をもたらしたといわれます。実際、1960年代頃から肉や乳製品の摂取量が劇的に増え、それに伴って、日本人の病気の質が変わってきたことも事実です。それもあって、「食の欧米化が、日本人の健康にとって諸悪の根源」という意見がよく聞かれます。

しかし、はたしてそれは本当でしょうか。2011年の日本人の平均寿命は、男性で79.4歳、女性は85.9歳と、近年やや短くなる傾向にあります。とくに女性は1985年から26年間守ってきた世界一の座を香港に明け渡し2位となりました。

2011年3月に日本を襲った東日本大震災の影響が考えられるものの、男性も前年の4位から8位に大きく順位を下げています。世界一の長寿国という称号は、いまや日本のものではありません。しかし、この半世紀という長いスパンで見れば、日本人の寿命は飛躍的に延びてきたとえます。

日本と世界主要国の平均寿命の歴史的推移を比較したデータによれば、1950年当時、先進国中最も低い61歳だった日本人の平均寿命は、わずか半世紀で他を一気に抜き去り世界1位となりました。

食の欧米化が最も進んだとされる戦後の約半世紀で寿命は短くなるどころか、逆に長くなっているのです。これはどういうことでしょうか。戦前から終戦直後にかけては、衛生環境が悪く、医療技術も低かったことなど、平均寿命を押し下げる要因があり、食生活だけでは語れない面があります。

しかし、戦後の欧米食の流入によって、血管をしなやかに丈夫に保つために必要なたんばく質や脂質の摂取量が増え、血管が弱いために起こる脳出血が減少しました。日本人の平均寿命の延びには、この脳出血による死亡率の減少が大きく影響しているとされます。

日本食は低脂肪・低カロリーである半面、塩分摂取が多くなりがちで、それが高血圧や脳出血を引き起こしていた面もあります。日本人の長寿化は食の欧米化のおかげ、とはいい切れませんが、一面ではそれによって栄養状態が改善され、プラスにはたらいた面があることは事実なのです。
もちろん、脂肪過多の食事によって、血管は丈夫になつた半面、脳梗塞や心筋梗塞などが増加してきました。

腸の健康から見れば、大腸がんや潰瘍性大腸炎などが増32えているのも、食の欧米化の影響と見てほぼ間違いないと思います。つまり、物事にはよい面もあれば、必ず悪い面もあるということ。日本人はつい極端に走りがちですが、要は、バランスが大事。腸のためにも、体全体の健康のためにも、偏食にならずに、それぞれのよい面・悪い面を知って、上手に取り入れたいものです。

朝食を食べないのは腸にとって強いストレス

朝食抜きは腸ストレス

朝食抜きは腸ストレス


朝食抜きの腸ストレスはかなり深刻です。朝食を抜いたくらいで、健康にはそれほど影響はないだろう。必要なエネルギーは昼食や夕食で補えばいいのではないか。
むしろ、朝食を抜いたほうがダイエットにもなつていいのではないか。そう考える人も少なくないようです。

しかし、朝食抜きをおすすめすることはできません。というのも、排便にとても重要なぜん動と呼ばれる結腸の収縮運動が最も強く起こるのが、朝だからです。

こちらでも紹介したとおり、また、常習性便秘症の方が、炭水化物の摂取を控えるダイエットを行うと、食物繊維が不足がちになり、ますます便秘の症状が悪化しかねません。その結果、便秘薬や下剤の服用量が増えてしまい、症状はさらに悪化してしまいます。

この結腸の収縮運動は、胃に食べ物が入って「胃・結腸反射」が起こることによって引き起こされます。朝食を摂らないと、これが起きなくなり、結果的に便秘などの腸の不調を引き起こしてしまうのです。

便秘に悩む人が多いのですが、多くが1日の食事回数が少ない人が多く、2回以下の人が4割を上回り、なかでも朝食抜きの人が大変多いという結果がでています。

こうした生活習慣の乱れと、後述する食生活の変化や食物繊維摂取量の減少が、腸に悪影響を与えていることは間違いありません。
ちなみに、1950年代の日本人の食物繊維の平均摂取量は、1人あたり1日20グラムを超えていました。しかし現在は、わずか14 グラムです。

食物繊維は、18歳以上では1日あたり男性19グラム以上、女性17グラム以上とされているので、かなり不足しているといわざるをえません。
さまざまな健康情報に振り回される前に、まずは朝食をしっかり食べること、そして腸の健康の基本となる食物繊維の摂取を心がけたいところです。

安易なダイエット情報には注意する

間違ったダイエット情報

間違ったダイエット情報


最近の女性たちを見ていると、それ以上やせなくてもいいのにと思う人が、もっともっとやせなきやと、ダイエットに取り組んでいる姿に驚かされます。どう見てもやせすぎ?というスタイルです。

理想の体型を手に入れたいという女性たちの願望は、とても強いと感じます。しかし、その理想のゴールは、いったいどこにあるのでしょうか

その行き着く先に、健康的な美とは逆方向にすすんでいるように思えてなりません。そんななか、彼女たちにとって憧れの対象であるファッションモデル業界に新たな動きが出ています。世界の国と地域で発行されている世界的に有名なファッション誌「ヴォーグ」が、以前「やせすぎのモデルは誌面で起用しない」ことを宣言し、話題になりました。

女性が健康的に美しくあることを支援する「ザ・ヘルス・イニシアティブ」プロジェクトとして、全世界で同時にこのマニフェストを表明しました。

不健康なほどにやせたモデルを見た読者が無理なダイエットをしたり、あまりにも若いモデルが起用されることによって、精神的にも肉体的にも未成熟な少女の姿を「理想のボディ」と読者が誤解することがないように、同誌は今後16歳未満のモデルや、摂食障害を抱えたモデルを起用しないことを表明したのです。

もちろん、日本版の「ヴォーグジャパン」も健康美を誇るモデルらの食習慣を紹介する特集を組んでいました。日本は欧米に比べても女性のやせ願望が強いとされ、厚生労働省によると、20代女性の約3割がBMI(体重÷身長÷身長で算出される体重の指標。22が理想値とされる)
18.5未満の「やせ」。若い女性のやせすぎは、月経異常や不妊をもたらし、出産した子供の健康にも悪影響を及ぼします。やせ願望の低年齢化も社会問題になりつつある昨今、こうした動きにようやく注目が集まるようになってきました。

「理想の体型を手に入れたい」という思いは、十分に理解できます。問題はその「理想」が健康をむしばんでしまうこともあるということです。本当の美しさとは、健全な体から生まれるはずのものでしょう。

過剰なダイエットで内臓機能が停止しまうでは、過剰なダイエットは冷えを招き、冷え症にとどまらず内臓機能の障害も引き起こすことが紹介されています。