心理ストレスは現代人特有の「過敏性腸症候群」の原因となりますが、どういった食べ方でこの心理ストレスによる腸ストレスを解消できるのでしょうか?
植物性乳酸菌は、腸に到達し乳酸を放出し、腸内を弱酸性の環境に保ってくれます。腸内が弱酸性に保たれると弱アルカリ性を好む悪玉菌はすみにくくなるため、おのずと善玉菌の割合が増えるというわけです。
この「整腸作用」によって腸内環境が改善されると、便秘解消や免疫力アップにもつながり、腸のさまざまな病気の予防にもなります。
さらに、植物性乳酸菌は、精神的なストレスを媛和し、気分をスッキリさせてくれるはたらきも期待できるのです。最近ではMRIなどの進歩により、心の動きや気分の変化によって、脳内の血流に変化が見られることがわかってきました。
つまり、心の状態を脳で知ることができるようになったということです。
では、腸内環境がよくなると気分もよくなるとはどういう仕組みなのでしょうか。その関係を具体的に証明するために、不安感情などをチェックする心理テストもあります。
対象は、腸内環境が悪化していて、不安や抑うつなどに悩む慢性便秘症の方です。植物性乳酸菌のひとつであるラブレ菌含有カプセルを4週間摂取していただき、カプセルの摂取前後の結果と便培養による便内にある菌の状況、および自覚症状、マグネシウム製剤などの下剤服用量の変化について検討しました。
対象は4名(20歳~65歳) の下剤服用中の慢性便秘症の、いずれも女性の患者さんです。その結果、ラブレ菌含有カプセルの摂取前と摂取後を比較すると、自覚症状では改善が見られ、下剤稔使用回数と使用量に減少が見られました。
糞便内細菌叢は、接種前と比較して、腸内善玉菌である乳酸菌の有意な増加、悪玉菌であるバクテロイデス菌叢及びバクテロイデス菌占有率の有意な減少が確認されました。
また、心理テストの結果においても、不安や抑うつ状態の有意な改善が見られました。以上の結果から、腸ストレスを取り除くことで、心身のストレスを和らげられることが証明されたといえます。
つまり、腸の調子を撃えるだけでなく、「心理的ストレス」をも取り除いてくれる植物性乳酸菌の有用性が科学的にも実証されたのです。
ガムや歯磨き粉などの香料としても使用される、スッキリさわやかなべパーミントは、実は古くから薬効にすぐれたハーブとして知られています。
どうもスッキリしない」という人には、このペパーミントがおすすめです。ちなみにドイツでは、腸のはたらきが停滞している人、便秘の人が訴える腹部膨満感に対して、ペパーミントがおすすめです。
ちなみに、お腹にたまるガスの正体は、その約7割が口から飲み込んだ空気で、腸内で発酵したガスと混ざり合ったものです。その成分は約400種類あるとされ、そのうち約8割が窒素で、インドールやスカトールなどの悪臭のもとになる成分は1割にも満たないのです。
こうしたガスがお腹にたまって苦しくなる原因のひとつに、ストレスが挙げられます。緊張したりストレスを感じてしまうと、空気嚥下症といって、無意識のうちに多量の空気を飲み込んでしまうようになります。
こうして飲み込んでしまった空気は、ゲップを我慢してうまく外に排出されないと、腸に下りてガスとなってしまうのです。さらに、横行結腸にガスが大量にたまると胃を圧迫し、胃の内容物を停滞させるため、胃炎や逆流性食道炎せ起こしてしまいます。
腸内にたまってしまったガスを、効果的に排出するためにもペパーミントが有効です。ペパーミントの葉をお湯で抽出したペパーミント・ティーです。
その秘密は、ペパーミントが、腸管を動かしている筋肉である平滑筋の緊張を弛潰させることにあります。腹痛や不快感のもとになるのは、筋肉の過度な収縮です。
その緊張を抑制してくれる効果があるので、心理的なストレスから心身をリラックスさせてくれるのです。実際、動物実験において、ペパーミントの主要成分であるメントールが、腸の筋肉を収縮させる物質が出るのを抑えてくれたり、筋肉収縮を引き起こすカルシウムが細胞内に流れ込むのをブロックしたりすることが報告されています。
ペパーミントには、さらに発汗作用もあります。これはメントールの血管を拡張する作用によるものです。それによって、腸の動きをよくするという作用も期待できます。
したがって、ペパーミントティーを飲むことで、温かいお湯でお腹が温まり、ペパーミントのメントールによって腸のはたらきがよくなるというわけです。ちなみにメントールには、殺菌・抗ウィルス作用や鎮静作用もあります。そのため、不眠解消にも効果を発揮します。
心理ストレスを減らすビタミンC
肌荒れを防ぐなど美容効果も期待できるビタミンC には、ぜん動運動を促進するなど腸にとっても非常に有効な作用を持っています。
さらに、心理的ストレスを取り除いてくれる効果も期待できます。私たちの心身はストレスを感じると交感神経のはたらきによって、アドレナリンの分泌や血圧の上昇、血中糖分を増やすことでストレスに立ち向かおうとします。
このアドレナリンが作られる際に、大量のビタミンC が必要になります。1日に摂取すべきビタミンCの目安量は、男女ともに、大人は約100mgとされています。
ただし、激しい運動や紫外線を多く浴びたときなどは、酸化ストレスを取り除くために大量のビタミンCが消費されます。ビタミンCは水に溶けやすく、摂りすぎても体外に排出されるため、食べ物から少し多めに摂るくらいがちょうどいいかもしれません。
ビタミンC は、ブロッコリーやピーマン、キャベツ、ゴーヤ、カボチャ、イチゴ、柿、キウイなどの野菜・果物に多く含まれています。
食事からの摂取が難しい場合は、飲料水やサプリメントなどで手軽に補給できます。薬局でもビタミンC配合のサプリメントやアスコルビン酸(ビタミンC )の錠剤が市販されています。ただし、サプリメントを多く摂りすぎると、お腹をこわすことがありますのでご注意ください。
心理ストレスを取り去る食べ方のポイント
- 味噌、漬け物などの発酵食品、植物性乳酸菌の飲料などで、植物性乳酸菌を意識して摂るようにする。
- ペパーミントを日々の食生活に活用する。たとえば、ペパーミント・ティーなどにして飲む。
- 野菜や果物からビタミンCを多く摂るようにする。