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酸化ストレスを取り去るための食べ方

酸化ストレス

酸化ストレス


酸化ストレスについては大量の活性酸素が腸内をサビさせてしまうということを紹介しましたが、活性酸素を取り去るための食べ方を意識することが大切です。

日常の生活で活性酸素が発生することは避けられません。活性酸素は、細菌やウィルスを殺すという免疫機能に欠かせないプラスの作用もありますが、過剰な活性酸素は体をサビつかせ、悪影響を与えてしまいます。

そのため、人体には活性酸素を消去する抗酸化システムが装備されています。このシステムにおいて、重要な役割をはたしてくれるのがファイトケミカルのなかの抗酸化物質です。

ファイトケミカルは、ギリシャ語で植物を意味するファイトと、英語で化学を意味するケミカルからなる言葉です。つまり、この物質は植物に含まれる化学成分の総称です。
この物質は、動物のようには動けない植物が、紫外線や雨、外敵などから身を守るために作りだした天然成分で、その約90%は野菜や果物など、人が日常的に食べている食品に含まれています。その種類はなんと約1500種類ほどともいわれています。

たとえば、ファイトケミカルが豊富に含まれている植物や野菜は、強い雨にさらされても簡単には腐りません。また、動物に食べられないために、独特な臭いや苦味の成分を持っているものもあります。ファイトケミカルは、植物だけが作れる成分であり、人間や動物が作りだせるものではないこと。

さらに、これまでの栄養学では定義することができない7番目(その他は、5大栄養素である炭水化物、たんばく質、脂質、ビタミン、ミネラルと、食物繊維の6つ)の栄養素である、という2点に特徴があります。ファイトケミカルは、以下のように6種類に大別できます。

  1. ポリフェノール
    植物の色素や灰汁の成分などで、抗酸化力が強い。エキストラバージンオリーブオイルのオレウロペイン、赤ワインのレスベラトロールなど。
  2. 含硫化合物(硫黄化合物)
    ニンニクやタマネギなどの香りのもとで、ブロッコリーや白菜などのアブラナ科の野菜のイソチアネート類、ワサビやカラシのアリルイソチアネート、ニンニクやネギなどのシステインスルホキシド類などがある。
  3. 脂質関連物質
    人参のβカロテン、トマトやスイカのリコピン、ホウレンソウのルチン、ミカンのβ-クリプトキサンチンなどがある。
  4. アミノ酸関連物質
    アスパラガスのグルタチオンなど。
  5. 香気成分
    バナナなどの香気成分であるオイゲノール、柑橘類のリモネンなど。
  6. 糖質関連物質
    キノコ、大麦のβ-グルカン、海藻のフコダイン、リンゴのペクチンなどがある

さらに、ファイトケミカルを含む食品を効能別に見ると、以下のように分類されます。

  1. 抗酸化作用を持つもの
    エキストラバージンオイル、赤ワイン、赤じそ、クランベリー、緑茶、トマト、スイカ、タマネギ、ニンニクなど。
  2. 発がん物質を抑制するもの
    ブロッコリー、キャベツ、白菜(以上アブラナ科の野菜)、ワサビ、カラシ、マスタード、ニンニク、ネギ、大豆、スイカ、トマト、キノコ類など。
  3. 免疫力を高めるもの
    キャベツ、ニンニク、ネギ類、クランベリー、キノコ類、バナナ、ニンジン、海藻類、白菜など。

ファイトケミカルが多く含まれる果物にはそのほかに、キウイ、グレープフルーツ、マンゴー、ブドウ、オレンジ、リンゴ、スイカ、モモ、ナシなどがあります。
これらの食材とはたらきを覚えておき、腸を酸化ストレスから守るためにも、毎日の食卓に意識して取り入れたいものです。

エキストラバージンオイルの強力な抗酸化作用

抗酸化物質を含む食品のなかでも、その強い抗酸化作用で注目を浴びているのがエキストラバージンオイルです。がん細胞は人間の体内で毎日のように発生しています。しかし、免疫システムが通常通りはたらいていれば、その増殖は抑えられます。この免疫力を維持するためにも、抗酸化物質は重要なはたらきをするのです。

というのも、免疫システムは、体内環境が整っていないと十分に力を発揮することができません。免疫力を強くするためのポイントは、免疫細胞がはたらきやすいように、活性酸素が少ない環境を整備してあげることなのです。

エキストラバージンオリーブオイルには、抗酸化作用を持つ物質が4種類(ポリフェノール、ビタミンE、葉緑素、オレイン酸) も含まれています。ほかにも、オリーブオイルは細胞膜を丈夫に保つはたらきがあることも動物実験で確認されています。

人間の体は60兆個ともいわれる細胞で構成されています。それらの細胞を構成する細胞膜に障害が起こると、それがきっかけで、がん発生のリスクにもなってしまいかねません。

このように、オリーブオイルの効果は細胞膜レベルでも明らかになりつつあります。最近の動物実験では、サラダ油などに含まれるリノール酸を食べさせたマウスでは大腸がんの発生頻度が高くなり、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸を食べさせたマウスではこうした傾向が見られなかったということがわかっています。エキストラバージンオイルは、抗酸化作用ばかりではなく、大腸がんを予防する可能性を秘めているといえるでしょう。

発がんへのきっかけを抑制

がんと食事の因果関係が初めてわかったのは、1975年に実施された世界各国の調査がきっかけでした。それによって、動物性脂肪の摂取量が多いほど、大腸がん、乳がん、前立腺がんなどになりやすいことが判明したのです。

逆に野菜などがガンを防ぐ効果は現代でもよく耳にします。

などが代表的です。

理由のひとつは、動物性脂肪には主に飽和脂肪酸が多く含まれていること。飽和脂肪酸とは常温で固まる性質があるため、体内に入ると、血液の粘度を高めて流れにくくしてしまいます。

そのうえ中性脂肪や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の合成を促し、これらが血管壁に入り込みやすくします。この物質がマクロファージなどの免疫細胞の受容体であるTLR4に結合して、炎症を起こすことがわかっており、この炎症によってがんの進行が促進されると考えられるのです。

一方、青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸) は、常温では固まりにくいうえ、TLR4に飽和脂肪酸が結合するのをブロックして炎症が起こるのを抑制してくれます。つまり青魚の脂であるDHA、EPAなどは、炎症を抑えて、がんの成長を抑制するはたらきが期待できるのです。
さらに血液もさらさらにします。
血栓の予防にEPA・DHA

体内のコレステロールのうち、食品から摂取されるのは20~30%前後で、残りの70~80%は動物性脂肪から肝臓で合成されたものです。体内で作られるコレステロールは1 日平均約l~2 g ほどで、それと同程度の量が体外に排出されています。

そのうち約3分の1は胆汁酸であり、しかもこの胆汁酸は、腸内細菌によって二次胆汁酸に変化します。この二次胆汁酸こそが、実は発がんの原因物質と見られており、とくに大腸がんへの影響が強く疑われているのです。

動物性脂肪を多く摂取すると、それだけ多くのコレステロールが作られ、腸内に大量の二次胆汁酸が発生してしまうことになるわけです。

また、この二次胆汁酸自身が活性酸素を発生させ、がん遺伝子に突然変異を起こして、発がんに結びつくことも、最近になってわかってきました。

オリーブオイルに含まれる多種類の抗酸化物質には、これらの発がんへの反応を抑制するはたらきが期待できます。事実、オリーブオイルや魚、野菜、果物を多く摂取する地中海型食生活を送るギリシャでは、ほかの地域に比べて大腸がんや乳がんの羅漢率が低かったという調査結果もあります。

1960年代、アメリカの医師らの研究では、脂肪摂取量が低い値であった日本では大腸がん(結腸ガン)の死亡率は低く、脂肪摂取量の多かったアメリカなどの北米では、大腸がんの死亡率は高かったと指摘されています。

しかし、アメリカなどと同程度の脂肪摂取量であったイタリアでは、大腸がんの死亡率は低かったのです。このことは、アメリカに比べてEエキストラバージンオリーブオイルの摂聖里が多く、肉類や乳製品などへの動物性脂肪の摂取量が少ない、つまり脂肪の摂取内容の差によるものだと示唆されるのです。

ガン予防に効果的なカルシウム

カルシウムは、骨の材料になるだけではありません。2007年の世界がん研究基金/米国がん研究所の「食品・栄養・身体活動とがん予防」と題された報告書には、がんのリスクを低下させる物質としてカルシウムが、ほぼ確実に効果がある栄養素として挙げられていました。

なぜ、カルシウムが大腸がんに効果があるのか。脂肪を摂取すると胆汁の分泌量が増えます。胆汁に含まれる胆汁酸が酸化した二次胆汁酸は、大腸がんの引き金になりやすいことがわかっています。まだ実験段階ですが、カルシウムにはこの胆汁酸を吸着し、便中に排出するはたらきがあることがわかってきました。

1990年代に発表された海外の疫学的研究においても、食事やサプリメントでのカルシウム摂取量の多い人は、大腸がんの発症リスクが抑えられると結論づけられています。

とくにカルシウム摂取量が多いグループの大腸がんになるリスクは、最も少ないグループに比べて2%も低いという結果でした。カルシウムを多く含む食品は、体への吸収率がいい順に、牛乳や乳製品、豆類、ダイコンの菓や春菊、小松菜などの線の野菜、海藻やエビ・小魚類などがあります。

酸化ストレスを取り去る食べ方
  • ファイトケミカルを含む野菜・果物をたくさん食べる。
  • エキストラバージンオリーブオイルを日常的に摂取する。
  • カルシウムを意識して摂るようにする。

免疫ストレス「急増するガン、アレルギー症状との関連も」

免疫力

免疫力


便秘の症状に困り果てたAさんは、生活をよくよく振り返ってみると、便秘だけでなくほかにもさまざまな症状に悩まされていました。若い頃はテニスやスキーなどスポーツが得意で体力が自慢だでした。

しかし、スポーツから遠ざかって10年以上経過した30代後半なった頃から、疲れが取れにくく風邪を引いても治りにくいなど、体力の低下が気になり始めたそうです。

便秘の症状が出始めたのも、ちょうどその頃と重なります。介護の仕事に就いているAさんは、仕事場での過労やストレスがそれらの原因ではないかと考えていました。

しかし、問題はどうもそれだけではないようなのです。たとえば、食事はきちんと1日3食を摂るよう心がけていたそうですが、実際にはその時間帯はまちまちで、昼食が夕方頃になったり、夕食を摂るのが深夜になることもしばしばで、ときには忙しさのあまり昼食を抜いてしまうこともあったそうです。

そのため、その内容もおのずとインスタント食品などが多く、自炊はごくまれだったとのこと。しかも、便秘がひどくなってからは、肌荒れも気になるようになり、それがまたストレスになるという悪いスパイラルにはまってしまったようです。

Aさんの不調の原因はいったいどこにあるのでしょうか?

これまで見てきたように、私たちの健康と腸内環境は、とても深く結びついています。そのひとつの要因が、腸の免疫機能にあります。
腸管には体内で最大の免疫器官があります。そして、この腸内の免疫と腸内細菌には密接な関係があることがわかっているのです。
腸には、約500種類、100兆個の細菌がすみついています。それら腸内細菌は、乳酸菌に代表される「善玉菌」と有害な「悪玉菌」、さらに腸内の環境によっては、そのいずれにもなりうる「日和見菌」を加えて3種類に分類できます。

腸管の内側、腸壁に無数にあるひだのなかに群生するこれらの細菌のうち、善玉菌は食べ物の消化・吸収の促進、ビタミン合成、腸管運動の促進だけでなく、腸内を酸性にして、痛原菌をやっつけたり、免疫力を高めてくれたりもします。乳酸菌やビフィズス菌などはその代表です。

一方、ウェウルシュ菌やブドウ球菌、大腸菌などに代表される悪玉菌は、腸内をアルカリ性にし、腸内の腐敗を引き起こし、発がん物質や毒素のある有害物質を生み出します。
体の抵抗力を弱め、下痢や便秘の原因にもなります。腸内ではこれら善玉菌と悪玉菌が絶えず勢力争いをしており、ちょっとしたバランスの変化によって、一気に変わってしまいます。

たとえば、食事内容や睡眠、ストレスや健康/状態などが、腸内細菌のバランスに大きな影響を与えているのです。実はこの腸内細菌のバランスが、免疫システムにとても重要です。近年、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状に関して、腸内細菌との関わりが指摘されています。
花粉症はは腸を整えて根治する

アレルギー症状は、現代人にはおなじみですが、免疫機能の過剰反応によるものです。近年の研究によれば、アレルギー患者とそうではない健康な人では、腸内細菌叢(さまざまな腸内細菌が集まった状態) に違いがあることが指摘されています。

善玉菌をサポートする細菌群の多い人はアレルギー疾患にかかりにくい傾向がある、という報告もあるほど。アレルギー疾患のある人の腸内細菌叢の異常は、花粉症などアレルギー症状が発症する以前から認められることから、腸内細菌叢の異常と、アレルギーの発症には何らかの関係があると考えられています。

このように、腸内細菌のバランスは、免疫システムにおいて重要な位置を占めている、と考えられるのです。

欠食・偏食ストレス」でも紹介していますが、1日1食など食事量を極端に減らしてしまうと、その分、体重は減るかもしれませんが、それに伴って筋肉量も落ちてしまいます。この筋肉量の減少もまた、「免疫ストレス」を増大させることになるのです。

免疫を担う細胞やリンパ球などの栄養分になつているのが、アミノ酸の一種である「グルタミン」。実はこのグルタミンは筋肉から供給されているからです。
そのため、食事の量を極端に減らすと、それに伴ってたんばく質の摂取量が減り、筋肉量も減少するので、いざというときにグルタミンの供給量が不足してしまうことになります。その結果、リンパ球がうまくはたらかずに免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなるなどの悪影響が心配されます。

Aさんが気になっていた疲れや、風邪が治りにくいなどの症状は、グルタミン不足による免疫力の低下が原因ではないかと考えられるのです。食事の大切さは健康を害したときにしか自覚できませんが、これを機に食事の大切さを理解してほしいと思います。いいかげな食習慣=腸ストレスなのです。

心理ストレス「過敏性腸症候群などをもたらす、腸と脳の関係」

IT企業でのストレス

IT企業でのストレス


次の例はIT企業に勤める男性Dさんのケースです。Dさんは、40歳と同時に転職を決意し、現在の会社に就きましたした。環境の変化をきっかけにめきめきと頭角を現し、また社内での人望も厚く、これまで順調に昇進を重ねてきました。やる気に満ちており仕事への情熱も最高潮でした。

手がけた仕事の社外評価は高く、仕事へのやりがいも感じており、会社での待遇に対する不満もいまのところはなく、すべてが順調だと感じていたようです。

しかし、ここに思わぬ落とし穴がありました。真面目な性格のDさんは、その丁寧な仕事ぶりが評価されてきたわけですが、昇進するにつれて重くなつていく責任と、求められる結果が次第に大きくなっていくことに、いつしかプレッシャーを感じていたのかもしれないといいます。というのも、仕事そのものは順調だったため、ストレスを感じているという自覚がなかったのです。

しかし、そんなプレッシャーに最初に反応したのは、Dさんの腸でした。いつしか、便秘と下痢を繰り返すようになりました。ときどき症状は収まるものの、すぐまたぶり返すなど、一向に改善する兆しがないため、心配になつたDさんは検査をしました。

診断結果は、過敏性腸症候群。仕事のストレスが原因ではないかと指摘すると、初めて自分が感じていたプレッシャーに気づきました。

現在、Dさんのように、過敏性腸症候群を訴える人が増えています。その主原因は、ストレスフルな社会環境にあるといえるでしょう。
経済の急速なグローバル化に伴い、企業間の競争はサバイバル戦の様相を呈しており、労働環境は厳しさを増すばかりです。また、日常生活においても家事や育児、介護などに忙しく、息つく暇もないといった嘆きも聞かれます。実は、腸はこうした心理的なストレスをを感じやすい器官なのです。

たとえば重要な商談や面接に臨む際に、緊張のあまりお腹が痛くなったことがあるはずです。あるいは、旅行や転勤などのように急激な環境の変化によって、便秘になってしまったという人もいるでしょう。

それは心理的なストレスが、腸にとても大きな影響を及ぼしていることの証でもあります。では、なぜ腸は心理的ストレスに弱いのでしょうか。

腸は、脳に次いでたくさんの神経細胞があることから、「第2 の脳(セカンド・ブレイン)」といわれています。そのメカニズムはよくできたものです。腸管を食べた物が通過すると、腸管の筋肉にある神経がこれを感知します。

するとホルモンの一種であるセロトニンという神経伝達物質を介して腸管を動かすよう命令が伝わります。このような連動がぜん動運動へとつながり、腸の活動がスムーズに行われるのです。

つまり、腸には独立した「脳」があるといっても過言ではないのです。腸はこのような独立した神経系を持つ一方で、脳とも密接に結びついています。ぜん動運動によって便が直腸に達したところで私たちは便意を感じるのですが、これは便を受けた直腸が、脳に「便が届いたよ」という信号を出すからです。

このような腸と脳の密接な関係については、近年とくに注目が集まっているのです。腸の異常は脳に、脳の異常は腸に大きな影響を及ぼすこともわかってきています。

そして多くに共通するのは、「イライラ」や「ウツウツ」とした心理的ストレスを抱えている点です。これは腸の異常が脳に伝わるためではないかと考えられます。また、脳がストレスを感じると、これが腸の神経にも伝わり、お腹の調子が悪くなってしまうのです。