投稿者「heatup」のアーカイブ

食物繊維も摂り方次第では「悪」にもなるので注意する

食物繊維

食物繊維


食物繊維は食べられるだけ食べればいいのでしょうか?それは違います。その摂取の仕方を間違えてしまうと、便秘がかえってひどくなることもあるからです。

まず、食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維を多く含む食品には、たとえば玄米やゴボウ、ニンジン、ブロッコリーなどがあります。

一方、水溶性食物繊維は、ナメコや海藻類、アボカドなどの熟した果物に多く含まれています。食物繊維の摂取を心がけるあまり、カロリーが少ないからとサラダばかりを食べる人がいますが、そうすると不溶性食物繊維を多く摂ることになります。

その状態で水分が不足すると、便が硬くなってしまう危険性があります。食物繊維が多く含まれているというだけで、ある特定の食品ばかりを食べるのは、実はあまりよくないのです。

重要なのは、「不溶性」と「水溶性」の食物繊維をバランスよく摂取することです。その理想のバランスは、2対1です。腸の健康維持に最も有効と思われる比率ですので、目安として頭にいれておくといいでしょう。

「玄米菜食」は腸にとってプラスに働くか

玄米菜食

玄米菜食


近年の自然食ブームのなかでも、「玄米菜食」は健康志向の高い女性に人気の高い食事法といえます。たとえば「快腸を維持するための玄米」などもあります。現代人は脂肪や糖分を過剰に摂りすぎ傾向なので玄米菜食は合っていると考える人が多いのもわかります。

この玄米菜食を徹底した食事療法であるマクロビオティックは、高血圧や糖尿病、メタポリックシンドローム、大腸がんなどの生活習慣病予防に有効であるとされています。

玄米菜食の食事療法には、マクロビオティック以外にもいろいろな流派がありますが、いずれも、全粒粉穀類や野菜を中心にした低脂肪の食事がその大きな特徴です。

しかし、この理想的に見える食事法にしても、必ずしもよいことばかりではありません。場合によっては、腸の状態を悪化させてしまうことがあるのも事実です。

なかでも、慢性便秘で悩んでいる人には注意が必要です。とくに症状がひどいときに玄米菜食にすると、お腹の状態はさらに悪化し、腹部膨満感がひどくなったり、便が硬くなって排便障害を起こしてしまうことがあります。

これは、玄米などの全粒粉穀物や野菜を多く摂ることになるので、食物繊維のなかでも水に溶けにくい不溶性食物繊維の摂取量が多くなりがちだからです。

不溶性食物繊維を多く摂る場合は、同時に水分を多めに摂るか、水に溶けやすい水溶性食物繊維を併せて摂ることが必要です。
便秘と下痢で食べ分ける(水溶性・不溶性食物繊維)などが大切なポイントになります。

こうすることで、便の状態を軟らかくすることができます。慢性便秘で悩む人のなかにも、玄米食が中心の食事をすることで、症状が悪化してしまった人がいます。
そんな方の大腸内視鏡検査を実施すると、上行結腸に未消化の玄米が多数残っているケースもあります。玄米は栄養面ではとてもすぐれた食べ物ですが、よく噛まずに食べると消化に時間がかり、悪くすれば未消化になることがあります。

腸が健康な人にとっては体によくても、慢性便秘症の人や、胃腸が弱っている人、ストレスなどで腸のはたらきが鈍くなつている人が、白米を食べるのと同じような感覚で玄米を食べると、消化できずに腸の状態をさらに悪化させてしまいかねません。

そういった場合、玄米を食べるとお腹が張ってしまうという自覚のある人、また腸の運動が低下傾向にある人は、腸の状態がある程度改善されてから、少しずつ玄米を摂るようにしたほうがいいでしょう。
何度も繰り返しますが、玄米はよく噛んで食べることで効果がでるので、時間がない人もあまりおすすめできません。
食事の時間を十分に確保でき、ゆっくり良く噛んで食べることができる人の場合、玄米菜食は腸にもいい効果をもたらすでしょう。

食の欧米化は本当に日本人の腸ストレスを増大させてしまったのか?

食の欧米化

食の欧米化


諸外国の有名人が日本食を食べることがきっかけとなり、日本食の素晴らしさが世界的にも注目されている昨今、日本では農林水産省が中心となり、日本食文化の世界遺産化プロジェクトが進められています。世界中が糖尿病などの生活習慣病に頭を悩まされている中、和食はこの生活習慣病を解決してくれるかもしれません。

自国の食に関する分野をユネスコの無形文化遺産として登録する諸外国の動きがあります。たとえば、フランス美食術、地中海料理、メキシコ、トルコの伝統料理が社会的習慣としてすでに登録されています。

日本の食文化については、2013年にユネスコに登録されました。日本食は、穀物や魚、野菜、海藻類、そして発酵食品などを中心とした低脂肪、低カロリーのヘルシー食であるということから、世界でも注目が集まっています。

しかし、その一方で、当の日本では日本食離れが進み、食の欧米化(北欧米化)が進んでいます。2011年時点では、2人以上の世帯のパンの支出額が、主食であるはずのお米を抜いてしまいました。

そして、この「食の欧米化」が日本人の健康に劇的な変化をもたらしたといわれます。実際、1960年代頃から肉や乳製品の摂取量が劇的に増え、それに伴って、日本人の病気の質が変わってきたことも事実です。それもあって、「食の欧米化が、日本人の健康にとって諸悪の根源」という意見がよく聞かれます。

しかし、はたしてそれは本当でしょうか。2011年の日本人の平均寿命は、男性で79.4歳、女性は85.9歳と、近年やや短くなる傾向にあります。とくに女性は1985年から26年間守ってきた世界一の座を香港に明け渡し2位となりました。

2011年3月に日本を襲った東日本大震災の影響が考えられるものの、男性も前年の4位から8位に大きく順位を下げています。世界一の長寿国という称号は、いまや日本のものではありません。しかし、この半世紀という長いスパンで見れば、日本人の寿命は飛躍的に延びてきたとえます。

日本と世界主要国の平均寿命の歴史的推移を比較したデータによれば、1950年当時、先進国中最も低い61歳だった日本人の平均寿命は、わずか半世紀で他を一気に抜き去り世界1位となりました。

食の欧米化が最も進んだとされる戦後の約半世紀で寿命は短くなるどころか、逆に長くなっているのです。これはどういうことでしょうか。戦前から終戦直後にかけては、衛生環境が悪く、医療技術も低かったことなど、平均寿命を押し下げる要因があり、食生活だけでは語れない面があります。

しかし、戦後の欧米食の流入によって、血管をしなやかに丈夫に保つために必要なたんばく質や脂質の摂取量が増え、血管が弱いために起こる脳出血が減少しました。日本人の平均寿命の延びには、この脳出血による死亡率の減少が大きく影響しているとされます。

日本食は低脂肪・低カロリーである半面、塩分摂取が多くなりがちで、それが高血圧や脳出血を引き起こしていた面もあります。日本人の長寿化は食の欧米化のおかげ、とはいい切れませんが、一面ではそれによって栄養状態が改善され、プラスにはたらいた面があることは事実なのです。
もちろん、脂肪過多の食事によって、血管は丈夫になつた半面、脳梗塞や心筋梗塞などが増加してきました。

腸の健康から見れば、大腸がんや潰瘍性大腸炎などが増32えているのも、食の欧米化の影響と見てほぼ間違いないと思います。つまり、物事にはよい面もあれば、必ず悪い面もあるということ。日本人はつい極端に走りがちですが、要は、バランスが大事。腸のためにも、体全体の健康のためにも、偏食にならずに、それぞれのよい面・悪い面を知って、上手に取り入れたいものです。